2008 Fiscal Year Annual Research Report
Gタンパク共役型受容体クロストークによるシナプス可塑性と学習の制御
Project/Area Number |
20500284
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
田端 俊英 University of Toyama, 大学院・理工学研究部(工学), 准教授 (80303270)
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Keywords | 神経科学 / 生理学 / 脳・神経 / シグナル伝達 / シナプス可塑性 / 学習 / 記憶 / 運動 |
Research Abstract |
代表者はマウス小脳プルキンエ細胞に代謝型グルタミン酸受容体mGluR1と近接または複合体化して代謝型GABA受容体GABAbRと代謝型アデノシン受容体A1Rが発現していることを見出した。mGluR1は運動学習を支えるシナプス可塑性、小脳長期抑圧を誘導する分子である。 本研究では、主としてマウス小脳ニューロン培養系を用いて、GABAbRとA1RがmGluR1のシグナルを変調することによって、小脳長期抑圧の誘導効率や深度がどのような影響を受けるかを解析した。GABAbRは脳髄液レベルのカルシウムやGABAを受容すると、Gタンパク非依存的に小脳長期抑圧の誘導効率を高めた。またGABAbRは小脳皮質介在ニューロン・シナプス終末から漏出するレベルのGABAを受容すると、Gタンパク依存的に小脳長期抑圧の深度を増大させた。A1Rは脳髄液レベルもしくは小脳皮質ニューロンが活発に興奮したときに局所蓄積するレベルのアデノシンを受容するとGタンパク非依存的に小脳長期抑圧の誘導を阻害した。これらの効果のうちGタンパク非依存的なものは、mGluR1のリガンド感受性を増減することに原因があると考えられた。一方、Gタンパク依存的な効果はmGluR1に連関する細胞内シグナリングの増強に原因があると考えられた。さらにマウス個体の小脳表面にGABAbRアゴニストを作用させると、小脳長期抑圧依存的なrota-rod運動学習課題の成績が向上する傾向が見られた。以上の結果は、GABAbRやA1Rが相補的シナプス可塑性・学習調整機構として働いている可能性を示唆している。
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