2010 Fiscal Year Annual Research Report
CNR/プロトカドヘリン分子群における多様性の生理学的意義の解明
Project/Area Number |
20500287
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平林 敬浩 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (40297015)
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Keywords | プロトカドヘリン / ジーンターゲティング |
Research Abstract |
クラスター型プロトカドヘリンに属するCNR/プロトカドヘリンα分子群は、哺乳類を含む脊椎動物の脳神経系で発現する多様化膜分子群であり、マウスでは14種のファミリー分子(α1~α12, c1, c2)が存在し、いずれの分子種も細胞外ドメインにカドヘリンモチーフを有する1回膜貫通型分子である。これらの遺伝子について発現様式を単一神経細胞に対するRT-PCRで解析した結果、同分子群は個々の神経細胞ごとに異なる2~4種の分子種を発現しており、また、この遺伝子発現は対立染色体ごとでに独立したものであった。そこで本研究ではCNR/プロトカドヘリンαの特徴である分子的多様性や個々の神経細胞での差次的発現は脳システム構築においてどのような生理学的意義があるのかを明らかにすることを目的として、CNR/プロトカドヘリンα分子群の1分子種のみを発現、すなわち同分子群の多様性を欠失した遺伝子改変マウス(Pcdhα1マウス)を作製した。 Pcdhα1マウスは外見上、野生型マウスとの相違は認められず、交配維持が可能であった。以前、Pcdhα全分子種を発現しない遺伝子ノックアウトマウスを作製し、匂い受容体遺伝子にlacZ遺伝子をノックインしたマウスと交配することで嗅神経細胞の異常について解析したところ、嗅神経投射において異所性の糸球体が観察された。しかし、同様の実験をPcdhα1マウスで行ったところ、嗅神経投射に異常は観察されなかった。このことから正確な嗅神経投射にはCNR/プロトカドヘリンαの分子的多様性は関与していないことが示唆された。 また、Pcdhα1マウスにおけるCNR/プロトカドヘリンαmRNAの発現様式を解析したと.ころ、発現する分子種を1つにしても、同遺伝子全体の発現量に大きな変化は無かった。このことからCNR/プロトカドヘリンα分子群には常に発現量を一定に保つ機構が存在することが明らかになった。
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