2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500290
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
木村 晃久 Wakayama Medical University, 医学部, 准教授 (20225022)
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Keywords | 視床膜様核 / 注意 / 聴覚 / 視覚 / 体性感覚 / 内側膝状体 / 大脳島皮質 |
Research Abstract |
異種感覚情報の相互干渉(注意制御)に関与し得る視床網様核を貧む大脳反質-視床の機能連関について、ラットの聴覚システムに焦点を当て、研究を行った。1、細胞近傍記録一染色法により、音、光に反応する視床網様核の単一細胞(総数50)の軸索投射を調べた。音と光の両方に明らかに反応する細胞は無かったが、光に反応し音刺激により活動が変化する細胞を一部認めた。基本的に、音に反応する細胞は内側膝状体に、光に反応する細胞は外側膝状体もしくは後外側核に投射したが、音に反応し、内側膝状体と後外側核に投射する細胞も認めた。結果は、聴覚と視覚システムが視床網様核を介して相互に干渉する可能性は少ないことを示す。しかしながら、相互干渉する可能性も示唆されたので、感覚刺激の自発細胞活動に対する影響及び音と光の同時刺激による細胞反応を調べ、相互干渉の可能性を検証する実験を行っている。尚、外側膝状体と後外側核にそれぞれ投射する細胞の光に対する反応特性が異なることを示す結果を得た。視床網様核が、視覚の1次、2次システムの情報伝達を異なるかたちで制御することが示唆され、光反応特性に加え、自発活動の違いを更に調べている。2、内側膝状体の単一細胞(総数80)の視床網様核への投射を包括的に調べた。大脳皮質1次、2次の聴覚野は、視床網様核の外側と内側部に分離して投射するが、1次、2次(視覚、体性感覚も入力する)の聴覚視床核(内側膝状体亜核)は、外側と内側部の両方に投射することを明らかにした。視床網様核を介して、皮質と視床は異なる感覚情報処理修飾機構を構成することが示唆された。3、体性感覚と内臓感覚が収束する大脳島皮質に聴覚野が存在すること、その聴覚野の視床網様核への投射領域を明らかにし、この投射領域が、聴覚一体性-内臓感覚情報の相互干渉の要になることを示唆した。 覚醒ラットから神経活動を慢性に記録するシステムを一部構築した。
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