2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500290
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
木村 晃久 Wakayama Medical University, 医学部, 准教授 (20225022)
|
Keywords | 視床綱様核 / 注意 / 聴覚 / 視覚 / 体性感覚 / 内臓感覚 / 内側膝状体 / 大脳島皮質 |
Research Abstract |
異種感覚情報の相互干渉(注意制御)に関与し得る視床網様核を含む大脳皮質-視床の機能連関について、ラットの聴覚システムに焦点を当て、研究を行った。 研究実施計画の1)として、視床網様核、視床核、大脳島皮質において、細胞外マルチユニット記録、あるいは、細胞近傍記録-染色法を用いた単一神経細胞の神経活動記録で、音、光、皮膚(電気)刺激に対する反応特性、軸索投射の様態を調べる麻酔下急性実験を施行した。マルチユニット記録では、聴覚情報のみを処理すると考えられていた視床核(内側膝状体腹側部)で、皮膚刺激が、細胞の音反応を修飾(概ね抑制)する現象を認めた。視床網様核でも同様の現象を認めた。前者は論文投稿中、後者は結果を解析中である。単一神経細胞の記録では、後外側核(視覚視床核)に投射する視床網様核細胞の一部に、音刺激が光反応を修飾する現象を認めた。結果を解析中である。大脳島皮質では、新たな聴覚野を定義、その聴覚野が、視床網様核の内臓感覚セクター、体性感覚及び内臓感覚を中継する視床核(腹側基底核、後核群と後外側腹側核小細胞部)に投射することを明らかにし、神経科学専門誌に発表した。これらの結果は、視床網様核を含む大脳皮質-視床のループ連絡において、異種感覚情報が交錯、干渉することを示す。また、内側膝状体腹側部において、上行性あるいは下降性入力により異なる音反応潜時を示す2種類の細胞群が存在すること、それぞれの細胞群が視床網様核に特異的な軸索投射を送ることを明らかにし、大脳皮質-視床のループ連絡に多様な聴覚情報処理機構が内包されていることを示唆した。この知見は、神経科学専門誌に発表した。内側膝状体の音刺激に対する神経活動を覚醒動物で調べる研究実施計画の2)では、実験システムを構築した。しかしながら、実験実施に至らず、記録電極に関する技術的問題を解決するため新たな電極の作製に取り組んでいる。
|