2008 Fiscal Year Annual Research Report
デルタ2グルタミン酸受容体の新たなシグナル伝達機構-N末端、C末端領域の機能解析
Project/Area Number |
20500292
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
幸田 和久 Keio University, 医学部, 講師 (40334388)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江見 恭一 慶應義塾大学, 医学部, 研究員(非常勤) (70468495)
|
Keywords | 小脳 / グルタミン酸受容体 / シナプス可塑性 |
Research Abstract |
(1)C末端領域のin vivoにおける機能解析;平成20年度の研究において、δ2受容体のC末端にPTPMEGの脱リン酸化酵素ドメインを融合させた分子を、シンドビスウイルスを用いてδ2受容体の欠損した小脳プルキンエ細胞に導入すると、障害されていたLTDが回復することが明らかになった。この所見はLTDの誘導において、δ2受容体からのシグナル伝達の下流にPTPMEGが位置していることを強く示唆する。小脳プルキンエ細胞におけるシナプス可塑性に、チロシン脱リン酸化が必要であるとの所見は今までに報告がなく、今後、PTPMEGの基質の探索を行う予定である。 (2)N末端領域のin vivoにおける機能解析;平成20年度には、δ2受容体のLIVBPドメインのin vivoでの機能を明らかにするために、LIVBPドメインの欠失変異体(δ2△LIVBP)を、シンドビスウイルスベクターを用いてδ2受容体欠損プルキンエ細胞に導入し、phenotype rescue法により解析を行なったところ、非常に興味深いことに、δ2△LIVBPはLTDを回復させたが、形態的なシナプスの異常は回復させなかった。このことはδ2受容体のN末端のシナプス形成能とC末端のシナプス可塑性誘導能とが、1分子の中で乖離していることを示しており、この成果を論文として投稿した(Kakegawa et al. J Neurosci, in press)。δ2受容体のLIVBPドメインにシナプス誘導能があることは、LIVBPドメインがシナプス前部のタンパク質と結合している可能性を強く示唆しており、そのカウンターパートを今後探索する。
|
-
-
[Journal Article] Phosphorylation of delta2 glutamate receptors at serine 945 is not required for cerebellar long-term depression.2008
Author(s)
Nakagami, R., Kohda, K., Kake gawa, W., Kondo, T., Kato, N., Yuzaki
-
Journal Title
Keio Journal of Medicine 57
Pages: 105-110
Peer Reviewed