2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500293
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
陸 暁峰 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20360703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北澤 茂 順天堂大学, 医学部, 教授 (00251231)
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Keywords | 概念形成 / 前頭前野 / 9野 / 単一神経細胞記録 / サル / 前頭葉損傷 / 反応時間 |
Research Abstract |
本研究では、図形の大きさや時間間隔の長さを区別することにより大小の概念を形成するような認知機能に関する神経メカニズムを解明することを目的とした。開発した課題では、形状は同一で大きさの異なる2つの刺激対象を提示し、大きい方、もしくは小さい方を選択させる。また、標的の刺激対象を異なる時間(1-7秒)に提示し、短いあるいは長い時間間隔を認知させることにより、大小の概念を被験者に抽出させる。 平成22年度は、具体的に以下の研究計画を実施した。大小の概念形成の課題をニホンザルに実行させる際に、前頭前野の9野から単一神経細胞活動の記録を行い、記録したテタを解析した。その結果は、9野の神経細胞が異なる時間間隔の長さ(1、2、4、5あるいは7秒)に選択的に活動した(PLoS ONE, 2011, in press)。また、ニホンザルに訓練するときに使われた課題を人の被験者に使えるように改造し、前頭葉が損傷された患者(主に9野の領域)に大小の概念形成課題の遂行を遂行させ、行動データ、主に概念形成の課題に関するエラー、反応時間および運動時間を調べた。その結果は、9野が損傷された患者では、図形の大きさを区別する際、反応時間が有意に増加した。以上の結果から、9野が図形の大きさや時間間隔の長さなどの大小の概念に関する認知活動に重要な役割を果たしていることが示唆された。図形の大きさを区別する課題がニホンザルに最も難しかったが、データを獲得しながら、詳細的な分析を進んでいる。現在動物から記録された神経活動と人の被験者から集めたデータを有効に検討し、大小の概念に関与する神経メカニズムを解明する。さらに、この研究成果を全般的に科学雑誌に発表する。
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