2010 Fiscal Year Annual Research Report
Proteolipidファミリー蛋白質の生理機能の解析
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20500298
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
平田 たつみ 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 准教授 (80260587)
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Keywords | 神経 / 発生 / 軸索伸長 / ノツクアウトマウス |
Research Abstract |
発生時に神経細胞は軸索を盛んに伸長させる。その時、重要なのが、軸索の先端にある成長円錐である。これが、盛んに運動しながら、軸索を引っ張りつつ移動する事で、軸索伸長を引き起こすと考えられている。Proteolipidファミリー蛋白質M6aは、成長円錐に豊富に存在する事で同定された4回膜貫通タンパク質であるが、その機能は未だ不明である。申請者らは、これまでに、1)M6aに抗体が結合すると軸索伸長が強力に阻害されること、2)この軸索伸長阻害は成長円錐の崩壊を伴わないこと、および、3)抗体はM6aの機能を阻害するのではなく、M6aへの結合を介してgair of-function的に軸索伸長停止反応を誘起することを明らかにしてきた。次の重要な疑問は、この反応の生理的意義である。M6aにはM6bとDM20/PLPという2種類の類似分子が存在し、機能的補償効果が予想されている。実際、M6a遺伝子の単独破壊マウスでは、際だった表現系は見つかっていない。そこで、M6aとM6bの二重変異体を作製して、脳構造を解析したところ,脳梁が際立って細くなっていることがみつかった。脳梁の繊維を形成する新皮質神経細胞の数や密度については、二重変異体と野性型とで違いが認められなかった事から、軸索形成の過程に何らかの違いがあると予想された、実際、新皮質神経細胞を培養すると、二重変異体の軸索の伸びが悪いことがわかった。従って、細胞自律的な軸索伸長の障害が,脳梁形成不全の原因の一つであると予想された。
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Research Products
(2 results)