2010 Fiscal Year Annual Research Report
ホメオティック因子ATBF1のアルツハイマー病脳における発現上昇機序と意義の解明
Project/Area Number |
20500305
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Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
鄭 且均 独立行政法人国立長寿医療研究センター, アルツハイマー病研究部, 室長 (00464579)
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Keywords | アルツハイマー病 / Aβ産生 / APP代謝及び輸送 / ATBF1 |
Research Abstract |
最近、私たちはホメオティック因子ATBF1を同定し、ATBF1がアルツハイマー病(AD)脳やADモデルマウス脳の神経細胞において顕著に発現が上昇していることを明らかにした。前年度はAPP代謝およびAβ産生におけるATBF1の機能解明のため実験を行った結果、細胞株にATBF1とAPPを過剰発現させるとATBF1がAPPと結合し、APPを安定化させることによりAβ40およびAβ42の産生が促進されることが分かった。本年度はATBF1分子上のAPP結合ドメインを決定するとこと、細胞株およびAD脳を用いて、APPの代謝・輸送におけるATBF1の影響を調べた。 A. 研究方法 1) ドメイン別のATBF1発現ベクターを作成し、APPベクターと一緒にSH-SY5Y細胞に発現させ、Aβ40およびAβ42の産生をELISA法で、APP及びATBF1局在変化を細胞小器官のマーカを用いて蛍光免疫染色で調べた。 2) AD脳を用いて、ATBF1とAPPの局在を細胞小器官のマーカを用いて蛍光免疫染色で調べた。 B. 研究結果 1) ATBF1分子上のAPP結合ドメインを決定;今回作成した3つのATBFIドメインの中、893-3288ドメインを持つATBF1をAPPと一緒にHEK293T細胞に過剰発現させることでAβ40およびAβ42の産生が促進された。 まだ、このドメインを細胞に発現させると、このドメインは核に局在するが、APPを高発現させるとこのドメインは核に行かずに細胞質に留まった。しかし1-892と3289-3703ドメインを持つATBF1はAβ40およびAβ42の産生には影響しなかった。 2) APPの代謝・輸送におけるATBF1の影響;(1)APPを過剰発現させると、導入されたAPPは細胞質に均等に分布しているが、ATBF1を高発現させるとAPPはエンドソームやライソーゾムに集積された、(2)AD脳では、ATBFIとAPPはエンドソーム及びライソーゾムで共局在していた。
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