2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経系の発生、発達、再生過程におけるGABAシグナルの変化
Project/Area Number |
20500310
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
高山 千利 University of the Ryukyus, 医学部, 教授 (60197217)
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Keywords | GABA / GABA transporters / KCC2 / spinal cord / development / brain stem / regeneration / immunohistochemistry |
Research Abstract |
脊髄を中心として、発生、再生過程で神経回路の変化、GABAシグナルの変化を解析した。 1. 脊髄におけるGABAシグナルの発達変化(論文執筆中) GABAニューロンは胎齢11日目から出現し、12日目以降灰白質全体に分布し、前角領域では15日以降、後角では生後急激にシナプス形成が加速する。さらに、胎齢11日目以降、辺縁層(将来の白質)にGABA線維とシナプスを認めた。また、前角においては11日目以降、後角においては17日目以降、KCC2が発現し、GABAが抑制性に作用することが明らかになった。このことから、前角のニューロンは、最初は辺縁層から、15日以降灰白質からGABA入力をうけ、常に強い抑制を受け続けることが明らかになった。 2. 脊髄横断標本における変化 中位胸髄レベルで脊髄を完全横断し、腰髄レベルのGABAシグナルの変化を解析した。その結果、抑制性回路に大きな変化は見られなかったが、後角におけるKCC2に減少がみられ、GABAが興奮性に働いて何らかの作用をしている可能性が示唆された。今後詳細は検討していく予定である。 3. 純運動性である舌下神経再生過程におけるGABAシグナルの変化(論文執筆中) 舌下神経を切断後、直ぐに縫合し、再生過程における舌下神経核におけるGABAシグナルを解析した。シナプス構築、シナプス関連タンパク質の発現に大きな変化は認められなかった。しかし、伝達物質であるアセチルコリンの合成酵素の消失、KCC2の減少が確認された。そして、軸索の再伸展にともなってアセチルコリン合成酵素は速やかに再発現し、KCC2は徐々に増加し再生が完了する時に元のレベルに達した。このことから、軸索切断にともなうある種のシグナルに反応して、GABAは興奮性作用に変化し、再伸展に働くことが明らかになった。 4. 大脳皮質発達過程におけるGABAシグナルの変化(論文印刷中) 大脳皮質におけるGABAシグナルの変化を解析し、論文に纏めた。
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Research Products
(9 results)