2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500312
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
船越 健悟 Yokohama City University, 医学研究科, 教授 (60291572)
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Keywords | 神経再生 / 自律神経系 |
Research Abstract |
哺乳類の中枢神経系では、傷害された軸索はわずかな再生能しか示さないとされているのに対し、キンギョでは傷害後しばらくすると自然に軸索が再生し、運動機能が回復する。この違いを明らかにするために21年度はラットとキンギョで脊髄半切モデルを作成し、組織像を比較した。まず、ラットの脊髄をハサミで半切したモデルと、メスで半切したモデルを作成し、損傷部の組織像と再生線維を調べたところ、いずれのモデルでも損傷部に線維性瘢痕とそれを取り囲むグリア瘢痕が形成されており、トレーサーで標識された再生線維は大部分がグリア瘢痕部位で伸長がストップしていた。しかし、メスで半切したモデルでは、一部の線維は損傷部を通過している像が確認された。また、ハサミで半切したモデルでも、灰白質から瘢痕部位に侵入してくるセロトニン線維が認められた。したがって、損傷の方法や、再生ニューロンの種類によっては、自然の状態でも損傷部をこえる軸索伸長は可能であることが明らかになった。グリア性阻害因子、CSPGを分解する働きのあるChondroitinaseABCを投与したモデルでは、今のところコントロールと比較して著明な変化は認められていない。 一方、キンギョでは、脊髄損傷後に哺乳類と同様に線維性瘢痕が形成されるものの、徐々に神経組織に置換されてゆき、再生軸索の多くはそうしたグリア線維でみたされた神経組織内を通過していることが明らかになっている。21年度は、瘢痕組織をさらに詳しく解析し、線維性瘢痕が経時的に減少してゆく過程を、瘢痕の断面積を計測することで明らかにした。また、損傷部を通過する再生軸索の数の経時的変化も明らかにした。一方、再生した下行性軸索の交感神経節前ニューロンへの投射については、明らかにすることができなかった。
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Research Products
(2 results)