2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500312
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
船越 健悟 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (60291572)
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Keywords | 神経再生 / 自律神経系 |
Research Abstract |
21年度に引き続き、22年度もラットとキンギョで脊髄切断モデルを作成し、組織像を比較した。グリア性阻害因子、CSPGを分解する働きのあるChondroitinase ABCをジェルフォルムに浸して損傷部に投与したモデルでは、当初予想していた損傷部を越えた軸索再生を確認することができなかった。したがって、予定していた中枢性自律神経下行路再生の評価には至らなかった。このため、22年度後半からは浸透圧ポンプを用いてChondroitinase ABCを持続的に損傷部に投与する方法を導入し、損傷部を越えた軸索の再生を目指している。この方法を用いると、腰髄レベルでは脊髄をメスで完全切断しても、損傷部を越えた軸索再生が確認された。今後は、例数を増やし、仙髄の副交感神経節前細胞への下行性投射の再生や、脳幹の網様体、縫線核かちの下行性投射の再生を評価したいと考えている。 一方、キンギョの脊髄半切モデルでは、哺乳類と同様に線維性瘢痕が形成されるものの、徐々に神経組織に置換されてゆき、再生軸索の多くはGFAP陽性グリア線維でみたされたラミニン陽性のチューブ構造の中を通過することが明らかになっている。22年度は、下行性軸索が瘢痕組織を通過するメカニズムの詳細を明らかにするために、タイトジャンクションの裏打ちタンパクであるZO1に対する抗体を用いた免疫染色を行ったところ、ZO1陽性の網目構造が瘢痕部に出現し、これはラミニンとも共存することが明らかになった。このことから、再生軸索は瘢痕部に新たに形成される血管様構造の中を通過するものと考えられた。また、放射性グリアのマーカーであるDSD-1に対する抗体を用いた免疫染色を瘢痕組織に対して行った結果、瘢痕部を越えた軸索再生には、DSD-1陽性のグリア線維も関与している可能性も示された。これらの知見について、現在、論文に発表準備中である。
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Research Products
(2 results)