2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳に分布する新規細胞外マトリックス構造の組織化学的解析
Project/Area Number |
20500314
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
辰巳 晃子 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90208033)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和中 明生 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (90210989)
|
Keywords | DACS / アストロサイト / 細胞外マトリックス / テネイシンR |
Research Abstract |
哺乳類の成熟脳内に我々が発見し新規の細胞外マトリックスとして命名報告したDACS(Dandelion Clock-like Structure ; BBRC : 364, 2007)は、何らかのサブセットのアストロサイトである事が解っている。22年度はこのアストロサイトの正体に迫るための研究を行い以下の結果を得た。 (1) このアストロサイト(DACS)はCS56抗体で検出される。CS56抗体のほかにCS-AやCS-C抗体、更にdelta4S、delta6S、delta0S抗体で染色を行ったところ、CS-CではDACS様の形態が染色されたがCS-Aでは検出されなかった。これらの事から、DACSはCS-6Sエピトープを持つコンドロイチン硫酸で修飾されるアストロサイトである事が明らかになった。 (2) DACSを構成するコンドロイチン硫酸を特定するために、脳組織からCS56抗体で検出されるタンパクを精製しクロマトグラフィ法により解析を行った。その結果、細胞外マトリックスを構成するデネイシンファミリーの一つであるテネイシンR(TNR)が候補に挙がった。 (3) そこで抗TNR抗体(R&D社製とBD社製)を用いて染色を行ったところ、この2社の抗体は異なる染色性を示した。これは抗体の認識部位の相違によるものと思われる。そこでTNRのfibronectin typ III-likeドメインを認識する部位をターゲットとしてRNA probeを作成し、CS56抗体による免疫染色を行った脳切片上で、TNRのin situ hybridizationを行った。その結果、CS56陽性の細胞にTNR mRNAの発現が見られた。 以上の結果から、DACSは細胞外マトリックスであるテネイシンファミリーの一つであるテネイシンR(TNR)陽性のアストロサイトである事が明らかになった。TNR陽性アストロサイト(DACS)が脳内でどのような機能を果たしているのか、さらに研究を進めている。
|