2009 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス伝達効率を左右する因子の戦略的配置の可視化
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20500317
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
釜澤 尚美 National Institute for Physiological Sciences, 大脳皮質機能研究系, 特任助教 (50455218)
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Keywords | 脳・神経 / シナプス / 可視化 / 受容体 / 電子顕微鏡 / レプリカ標識法 |
Research Abstract |
20年度の本研究実施過程で、台形体核に存在するCalyx of Heldシナプスのグルタミン酸受容体の形態形成をレプリカ標識法で解析することで、成熟にともなうシナプス伝達の効率化について形態学的に考察できる可能性が示された。そこで本年度は生後1-3週間の動物を用いて、発育段階にともなって変化する受容体タンパクのシナプス後膜上での凝集形態の変化と、それらの受容体クラスター内でのAMPA、NMDA各受容体の局在、配分の変化を詳細に解析した。その結果、生後1週目では膜タンパク分子がゆるく凝集したクラスターが多く存在し、かつ、シナプス前終末とMNTB主要細胞が接着している部分では、受容体に対する標識がクラスターの外側にも多く観察された。聴覚系がほぼ完成する生後2週目では、膜タンパク分子のクラスター化が進み、それらにはAMPA型グルタミン酸受容体の標識が集中した。NMDA型に対する標識は1週目に比べて減少した。生後3週目ではNMDA型受容体に対する標識はほぼ消失し、AMPA型受容体に対するほとんどの標識は、非常に高密度に凝集した膜タンパククラスター上に存在した。さらに、双面レプリカ標識法によって、幼若期のCalyx of Heldシナプスでは、グルタミン酸受容体の凍結割断時の脂質二重膜における分配が典型的な例とは異なり、通常見られるようにほとんどがE-face側に移行するのではなく、相当数の分子がP-face側に移行していることが確認できた。これらの結果は、シミュレーションを介することで、電気生理で得られた結果を理解するために非常に有用であることが明らかになり、学会報告を行った。また、レプリカ標識法における新技術の開発として、種々のナノ粒子を標識物質として用い、粒子の元素の違いを検出して抗原部位を同定する可視化技術を開発し報告した。本法はさらに、ナノ粒子によって目的の抗原を従来法よりも高密度に標識する方法として実現できる可能性を示した。
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Research Products
(6 results)