2010 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス伝達効率を左右する因子の戦略的配置の可視化
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20500317
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
釜澤 尚美 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 特任助教 (50455218)
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Keywords | 脳・神経 / シナプス / グルタミン酸受容体 / カルシウムチャネル / 電子顕微鏡 / 可視化 / 凍結割断レプリカ免疫コロイド金標識法 |
Research Abstract |
20、21年度の研究では、台形体核のcalyx of Heldシナプスにおけるグルタミン酸受容体の発育に伴う形態形成をレプリカ標識法で解析し、受容体タンパクのシナプス後膜上での凝集形態の変化と、それらの受容体クラスター内でのAMPA、NMDA各受容体の局在、配分の変化を詳細に解析してきた。その結果、生後1週目から3週目にかけて、受容体タンパク分子で形成される膜上のクラスター密度が上昇し、かつ、クラスターの数は減少していく様子が明らかになった。そこで22年度は、シナプス前膜に存在する分子に着目した。シナプス小胞を放出する機構に最も重要な役割をもつカルシウムチャネルについては、これまで組織化学で使用可能な抗体が限られていたことから、チャネルの局在様式に関してはほとんど情報がなかった。しかし、本研究において、P/Q型カルシウムチャネルに対する入手可能な抗体の中から、レプリカ標識法で使用できる抗体を発見し、calyx of Heldシナプスにおけるカルシウムチャネルの局在を電子顕微鏡レベルで可視化することに成功した。さらに興味深いことに、本シナプスにおいては生後1-3週間の発育段階で、シナプス後膜のグルタミン酸受容体のクラスター化に対応したように、シナプス前膜のカルシウムチャネル、およびシナプス前タンパク複合体に存在するCASTやRim1といったタンパクもクラスター化していく様子が明らかになった。本研究によって、シナプス形成におけるシナプス前後の協調した発達過程を可視化できたと考える。また、同様の抗体を用いて小脳でも解析を開始し、プルキンエ細胞に形成されるシナプスにおいてもP/Q型カルシウムチャネルの局在様式を明らかにした。これらに関しては学会報告を行い、現在、報文を作成中である。
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