2009 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系の損傷部への細胞移植による神経再生促進のメカニズムの解明
Project/Area Number |
20500318
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
川野 仁 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (20161341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 純子 (木村 純子) 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (20142151)
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Keywords | 中枢神経系 / 損傷 / 線維芽細胞 / アストロサイト / TGF-β / 神経再生 / 線維性瘢痕 / グリア瘢痕 |
Research Abstract |
今年度は、我々が損傷後の中枢神経系で主要な神経阻害因子と考えている線維性瘢痕の形成機序を調べた。 まず、線維性瘢痕の形成には、transforming growth factor-β(TGF-β)の関与が考えられる。そこで、TGF-β受容体の発現について調べた。In situハイブリダイゼーション法と免疫組織化学の二重染色を行うと、受容体は線維性瘢痕を形成する髄膜の線維芽細胞に発現していたが、グリア瘢痕を形成する反応性アストロサイトには発現していなかった。このことから、損傷後、増加するサイトカインであるTGF-βが線維性瘢痕の形成に関与すると結論された(Komuta et al., 2010)。 さらに、TGF-βが線維性瘢痕の形成に関係することを直接証明するため、脳のアストロサイトと線維芽細胞の共培養系にTGF-βを添加した。無添加の共培養では2種類の細胞は互いに別々の単層のコロニーを形成しているが、TGF-β1を添加すると線維芽細胞が細胞集塊を形成し、その周りをアストロサイトが取り巻いた。この細胞集塊にはNG2プロテオグリカン、コンドロイチン硫酸、セマフォリン3A、テネイシン、Eph2Bなどの軸索突起伸長抑制因子が発現し、小脳ニューロンの神経突起の伸長が著しく阻害された。脳内で形成される線維性瘢痕に良く似た細胞構築、遺伝子発現そして神経突起伸長阻害作用を持つ培養モデルを世界で初めて確立した(Kimura-Kuroda et al., 2010)。今後このモデルを用いて、瘢痕形成と、損傷部における神経再生阻害のメカニズムを調べる計画である。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] The transcriptional repressor RP58 is crucial for proper cell-division patterning and neuronal survival in developing cortex2009
Author(s)
Okado H, Ohtaka-Maruyama C, Sugitani Y, Fukuda Y, Ishida R, Hirai S, Miwa A, Takahashi A, Aoki K, Mochida K, Suzuki O, Honda T, Nakajima K, Ogawa M, Terashima T, Matsuda J, Kawano H, Kasai M
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Journal Title
Dev.Biol. 331
Pages: 140-151
Peer Reviewed
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