2009 Fiscal Year Annual Research Report
フェロモン記憶機構にかかわるシナプスのリアルタイムイメージング解析
Project/Area Number |
20500319
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
市川 眞澄 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (20124414)
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Keywords | 棘突起 / 副嗅球ニューロン / シナプス可塑性 / ノルアドレナリン / カルシウム / 共焦点レーザー顕微鏡 / GFP / リアルタイムイメージング |
Research Abstract |
鋤鼻系はフェロモンの受容、情報処理をおこない、生殖をはじめとする社会行動に関係し、動物にとって重要な神経路である。これまでに、フェロモン記憶形成の際に、副嗅球内の相反性シナプスが形態変化を起こすことを電子顕微鏡的に明らかにした。シナプス可塑性のメカニズムをさらに詳細に検討するために、リアルタイムイメージングにより以下の研究を行った。 鋤鼻ニューロンを刺激し副嗅球でおこるシナプスの変化をリアルタイムイメージングで解析するため、鋤鼻器と副嗅球ニューロンの共培養を確立し、さらに、培養副嗅球ニューロンのうち顆粒細胞をリポフェクション法によりGFPでニューロンを標識し、ニューロンの樹状突起およびシナプスの動態について共焦点レーザー顕微鏡を用いてリアルタイムイメージングにより解析した。棘突起はシナプス構成部位であり機能的に重要である。ノルアドレナリンで薬理学的に顆粒細胞を興奮すると、樹状突起上の棘突起(スパイン)の数を増すタイプとスパインのサイズが増すタイプがあることが明らかになった。 また、カルシウムイメージング法により、刺激を受けた顆粒細胞におけるカルシウムの動態を解析した。この結果、ノルアドレナリンで薬理学的にニューロンを興奮すると、その反応性においていくつかのパターンを示すことが明らかになり、スパインの動態とカルシウムの反応性とが相関性を示唆する結果を得ている。また、ニューロンのみならずグリア細胞も反応することから、グリア細胞による間接的な影響も考慮する必要性が明らかになってきた。 リアルタイムイメーシンクによる刺激依存的シナプスの可塑性を解析することは、記憶のシナプスメカニズムを研究する方法として大変優れていると結論できる
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