2010 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経原発悪性リンパ腫の腫瘍発生におけるケモカインおよびEBウイルスの役割
Project/Area Number |
20500327
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
杉田 保雄 久留米大学, 医学部, 教授 (80216316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 孝一 久留米大学, 医学部, 教授 (50203766)
寺崎 瑞彦 久留米大学, 医学部, 准教授 (70320223)
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Keywords | 神経科学 / 脳神経疾患 / 病理学 |
Research Abstract |
【研究の目的】本研究の目的は中枢神経原発悪性リンパ腫(PCNSL)の脳内浸潤機構、腫瘍発生についてのケモカイン・レセプターおよびEBウイルスについて役割を解明することである。今回はPCNSLの増殖,浸潤機構機構におけるケモカインCXCL12, CXCL13の役割を中心にして研究を行った。【対象および方法】過去10年間に当施設で診断したPCNSL症例で既存の脳組織とPCNSLの関係が明瞭である26例を対象にした。PCNSL患者の内訳は男:7,女:19名であり、平均年齢は68歳であった。EnVision kitによる免疫染色で腫瘍細胞,、血管内皮細胞でのケモカイン,CD105(endoglin)の発現を検討した。抗体はCD105, anti-CXCL12, anti-CXCL13を用いた。CXCL12, CXCL13の評価は腫瘍細胞の標識率により3段階で評価した(1+:0-5%,2+:5-50%,3+>50%)。血管内皮細胞の陽性は高視野(X400)で5個以上の血管が染色された場合を陽性と判定した。【結果】CXCL12陽性は26例中26例(1+:3,2+:23)であった。CXCL12陽性例は全例で血管内皮細胞においてもCXCL12陽性所見を示した。CXCL13陽性は26例中23例(1+:19,2+:4)であった。CXCL13陽性例中2例のみが血管内皮細胞に陽性を示した。CD105で血管が標識された症例は26例中11例であった。【考察および結論】(1)CD105(endoglin)で標識される腫瘍新生血管以外の既存血管においてもCXCL12の発現がみられた。したがってPCNSLの増殖,浸潤においてCXCL12のオートクリン/パラクリン機構が重要な役割を担っている。(2)CXCL13の発現は大部分の症例で血管での発現はみられず、CXCL12, CXCL13のPCNSLにおける作用機序はなっていることが推定される。(3)PCNSLにおいてCXCL13の発現率,強度はCXCL12に比較して弱かったが、PCNSLの増殖および浸潤においてこれらは相補っている可能性が考えられる。
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Research Products
(3 results)