2009 Fiscal Year Annual Research Report
ハンチントン病モデルマウスにおけるナトリウムチャネルベータ4の発現抑制
Project/Area Number |
20500329
|
Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
小山 文隆 Kogakuin University, 工学部, 教授 (40194641)
|
Keywords | ナトリウムチャネルベータ4 / ハンチントン病 / モデルマウス / 蛍光タンパク質 / ベータ4プロモーター / 遺伝子発現抑制 |
Research Abstract |
ハンチントン病(HD)は舞踏運動、精神および知能障害を特徴とする遺伝性の神経難病で、ハンチンチン遺伝子に存在するCAGトリプレットリピートの伸長[翻訳産物は伸長ポリグルタミン(polyQ)]が原因で発症する。その神経病理学的特徴は線条体での神経細胞死である。我々はHDモデルマウスおよびHD患者の線条体で発現が顕著に低下する分子としてナトリウムチャネルベータ4サブユニット(ベータ4)を同定した。転写の抑制はHDでの主な神経病理学的な特徴であるが、我々が調べて限りでは、ベータ4は最も早く発現が影響を受ける遺伝子である。伸長polyQの核内蓄積はHDモデルマウスで症状が現れる前に認められる。しかし、転写抑制における核内蓄積の役割は明らかではない。我々は、昨年度の研究で、ベータ4プロモーター制御下で蛍光タンパク質であるVenus(GFPのバリアント)を発現するトランスジェニックマウスの作製に成功した。本年度の研究では、伸長polyQによるベーター4の遺伝子発現抑制メカニズムをin vivoで明らかにするため、ベーター4プロモーター:VenusトランスジェニックマウスをHDモデルマウスと交配し、神経病理学的に解析した。上記マウスを交配して得られたダブルトランスジェニックマウスを解析したところ、核内凝集を有する細胞ではVenusの発現する細胞が減少し、核内凝集体がない細胞では影響がなかった。これらの結果は伸長polyQの核内蓄積はベータ4遺伝子の発現を転写レベルで抑制する可能性を示唆する。
|