2008 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質チロシン脱リン酸化酵素による神経機能制御機構の解明
Project/Area Number |
20500332
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
大西 浩史 Gunma University, 生体調節研究所, 准教授 (70334125)
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Keywords | 蛋白質チロシンリン酸化 / チロシン脱リン酸化酵素 / 細胞間相互作用 / 高次脳機能 |
Research Abstract |
本研究では、脳におけるチロシン脱リン酸化シグナルの機能を明らかとすることを目標に、細胞質型チロシンホスファターゼSHP-2の機能解析に取り組んでいる。これまでの解析で、SHP-2は、神経系に強く発現する受容体型膜蛋白質SHPS-1の細胞内領域がSrcファミリーチロシンキナーゼによりチロシンリン酸化を受けると、この部分に結合して活性化し下流へとシグナルを伝えることを明らかとしている。また、SHPS-1はその細胞外領域のリガンドである膜蛋白質CD47と相互作用し、神経機能を制御する新規細胞間相互作用シグナルシステムCD47-SHPS-1系を形成する。SHP-2,は発生過程において重要な機能を果たすため、遺伝子破壊(KO)マウスは胎生致死となる。そこでまず、Cre-loxPシステムを昴いて、成熟した前脳でSHP-2が詩異的に欠損するマウスを得るため、HarvardMedicalSchool2Dr.NeelとMax-Planck,Dr.KramerからSHP-2-loxPマウスと、成熟前脳特異的にCreリコンビナーゼを発現するCaMKII-Creマウスの供与を受け、これらを交配することで、成熟前脳特異的なSHP-2KOマウスの作成を進めた。作成したSHP-2KOを解析したところ、生後10週から16週で、前脳においてSHP-2の有意な減少が認められた。また、SHP-2KOマウス脳におけるチロシンリン酸化蛋白質のプロファイルを比較したところ、いくつかの分子のチロシンリン酸化状態が変化している可能性を見出した。今後、高次脳機能におけるSHP-2の関与について解析を進めるために、現在、行動解析用のマウスの準備を進めている。
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