2008 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系における一酸化窒素シグナル依存性カルシウム放出と生理的意義
Project/Area Number |
20500333
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
柿澤 昌 Nagasaki University, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (40291059)
|
Keywords | 一酸化窒素 / 小脳 / プルキンエ細胞 / カルシウム / シナプス可塑性 / イオンチャネル |
Research Abstract |
平成20年度には、NOシグナル依存的な細胞内ストアからのCa放出の分子機構の解明を目標に、以下のような研究を行った。 1.小脳プルキンエ細胞におけるNOシグナルによるCa放出 脳神経系の細胞において実際にNOシグナルによりCa放出が誘起されることを示すため、マウス小脳急性スライス標本においてプルキンエ細胞内のCaイメージングを行い、NO供与体投与が及ぼす影響を調べた。その結果、NOシグナル依存的に顕著なCa上昇が見られた。このCa上昇は細胞外からのCa流入に依存せず、その一方で、薬理学的処置により細胞内Caストアを枯渇させると消失することから、Ca放出によるものであることが示された。また、このCa上昇は、可溶性グアニル酸シクラーゼには影響を受けず、還元剤の細胞内投与により阻害されたことから、タンパク質のS-ニトロシル化を介するものと考えられる。 2.NOシグナル依存的なCa放出へのイオン放出チャネルの関与 引き続き、このCa放出に関与するイオンチャネルの同定を試みた。プルキンエ細胞での発現が知られているCa放出チャネルの特異的阻害薬のCa放出への影響を調べたところ、骨格筋型Ca放出チャネルの関与を示唆する結果が得られた。 以上、一連の実験により、中枢神経細胞における新しいCa動因機構の存在と、その分子機構の一端が明らかになった。平成21年度には、このCa放出の生理的役割について研究を進めてゆくことを計画している。
|