2010 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系における一酸化窒素シグナル依存性カルシウム放出と生理的意義
Project/Area Number |
20500333
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
柿澤 昌 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (40291059)
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Keywords | 一酸化窒素 / カルシウム / 小脳 / プルキン工細胞 / シナプス可塑性 / 酸化シグナル / 老化 |
Research Abstract |
申請者が近年発見した、小脳皮質平行線維-プルキンエ細胞におけるシナプス可塑性、長期増強 (long-term potentiation ; LTP)には、一酸化窒素(nitric oxide ; NO)シグナルと、Caシグナルの両者が必要であることが示されていた。そこで、本年度はNOシグナルとCaシグナルのクロストーク、および平行線維LTP(PF-LTP)へめ関与の解明を目的として研究を行った。小脳プルキンエ細胞においては、NO供与体の投与により、細胞内Ca濃度の上昇が見られた。NOシグナルの伝達系として、可溶性グアニル酸シクラーゼ(soluble guanylyl cyclase ; sGC)依存的な経路と、タンパク質のS-ニトロシル化依存的な経路があるが、このNO依存的なCa上昇は、sGCの特異的阻害薬ODQで阻害されないことから、S-ニトロシル化依存的であると考えられる。また、NO依存的Ca上昇はCaを含まない細胞外液下でも見られることから、細胞外からのCa流入には依存しないと考えられる一方、細胞内Caストアの阻害薬、および或る種のCa放出チャネルの阻害薬で阻害されたことから、細胞内ストアからのCa放出によるものであることが示された。そこで我々は、このNOシグナルによるCa放出現象をNO-induced Ca release (NICR;一酸化窒素依存的Ca放出)と名付けた。引き続き、NICRの機能的役割を明らかにするため、NICRを阻害する薬物の小脳LTPへの影響を調べたところ、全ての薬物に阻害効果が認められた。また、NICRはLTP誘導刺激により誘導されたが、神経型NO合成酵素欠損マウスにおいては阻害された。したがって、NICRは神経活動依存的依存的に内因性のNO合成酵素の作用を介して誘起される細胞内Ca動因機構で、シナプス可塑性の誘導に必要であることが明らかとなった。
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[Journal Article] Mitsugumin 23 forms a massive bowl-shaped assembly and cation-conducting channel2011
Author(s)
Venturi E, Mio K, Nishi M, Ogura T, Moriya T, Pitt S, Okuda K, Kakizawa S, Sitsapesan R, Sato C, Takeshima H
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Journal Title
Biochemistry
Volume: (印刷中)
Peer Reviewed
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