2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経突起伸展・成長円錐ガイダンスのFRETイメージングによる解析
Project/Area Number |
20500336
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 岳史 Kyoto University, 生命科学研究科, 講師 (60362604)
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Keywords | シグナル伝達 / 神経科学 / 細胞・組織 / 蛋白質 |
Research Abstract |
●ジブチリルcAMP刺激によるPC12細胞の神経突起伸展についての解析:ジブチリルcAMPの刺激は、PC12細胞の突起伸展を誘導できる。昨年度の解析で、この突起伸展時にPKAの活性を介したRac1の持続的活性化が起きることがわかったので、そのRac1活性化を担う因子の同定を行った。その結果、Rac1特異的なGEFであるSTEFがジブチリルcAMP依存的なRac1活性化を担うことが明らかになった。また、STEFをRNAi法によりノックダウンしたPC12細胞では、cAMP依存的な突起伸展が大きく阻害された。In vitroリン酸化実験により、PKAがsTEFをリン酸化することがわかったので、PKA→STEF→Rac1→突起伸展という経路が想定される。平成22年度には、この経路の実証と、ジブチリルcAMP刺激によるRac1活性化が次第に突起先端部に限局していく機構の解析を目指す。 ●海馬神経細胞の軸索極性形成におけるRap1B活性化の役割についての解析:海馬神経細胞の軸索極性形成においてRap1Bの重要性が報告されているが、その役割については不明の点が多い。そこでFRETイメージングにより解析を進めたところ、極性形成時にRap1Bはfuture axonでのみ活性化されるのに対し、PI3キナーゼやCdc42は伸長しているfuture axon/dendritesで活性化されることがわかった。このことは軸索極性形成において、Rap1Bがinstructiveな役割を果たしていることを示唆している。また、Rap1Bの下流のシグナル経路について解析を進めた結果、活性化Rap1BはRa1A、Nore1A、PI3キナーゼにシグナルを流していることがわかった。これらの分子はそれぞれ、膜輸送、微小管制御、Rac1/Cdc42活性化を介して、軸索極性形成に寄与していると考えられる。
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Research Products
(7 results)