2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経突起伸展・成長円錐ガイダンスのFRETイメージングによる解析
Project/Area Number |
20500336
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 岳史 東京理科大学, 生命科学研究所, 教授 (60362604)
|
Keywords | シグナル伝達 / 神経科学 / 細胞・組織 / 蛋白質 |
Research Abstract |
●ジブチリルcAMP刺激によるPC12細胞の神経突起伸展についての解析:ジブチリルcAMPの刺激は、PC12D細胞の突起伸展を誘導できる。PC12D細胞をdbcAMPで刺激すると、Rac1の活性はゆるやかに上昇して高いレベルを保つ。この時に、神経突起伸展に一般的に必要と考えられているPIP_3のレベルは変化しない。同様の系で5時間の観察を行なうと、5時間後には神経突起の先端部でRac1とCdc42の局所的な活性が認められるが、このときも突起先端部にはPIP_3の集積は見られない。cAMPシグナルの下流には、主にPKAを介する経路とEpac/Rap1を介する経路があるが、この系でのcAMPによるRac1活性化は、PKAとSTEFを介することがRNAi法とFRETイメージングを用いた解析で明らかになった。また、STEFのノックダウンによりdbcAMPによる神経突起伸展は顕著に減少する。in vitroでの解析から、PKAは主にSTEF上にある3か所のセリン/スレオニン(Thr749, Ser782, Ser1562)をリン酸化することがわかった。その中でも、Thr749のリン酸化がcAMPによるRac1活性化と突起伸展において特に重要である。また、cAMPによるRac1活性化が次第に突起先端部に限局していく時にPKA活性もほぼ同様の限局を示すことがわかった。脊髄損傷などの再生治療において、cAMP経路の増強が検討されている。この場合、転写因子であるCREB活性化の影響が広範囲に及びことを考えると、比較的低レベルのcAMPを投与した上で、突起伸展シグナルのみを特異的に活性化して相乗的な効果を上げることができれば有効な治療法となる可能性がある。本研究の結果はそうした方向に応用できる可能性を持っていると考えられる。 ●神経突起伸展に関与するRab分子のFRETセンサーの開発:膜輸送を介して神経突起伸展に関与すると考えられるRab分子数種のうちのひとつについて高効率なFRETセンサーを開発した。
|
Research Products
(8 results)