2010 Fiscal Year Annual Research Report
摂食・うつ不安に関わる受容体の新しい調節部位の同定と創薬標的の探索
Project/Area Number |
20500337
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
斎藤 祐見子 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (00215568)
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Keywords | 摂食 / うつ / G蛋白質 / 情報伝達 |
Research Abstract |
メラニン凝集ホルモン(melanin-concentrating hormone : MCH)は、そのノックアウトにより摂食量が低下し体重が減少する「ヤセ」表現形を示す唯一の神経ペプチドである。1999年、斎藤らはGタンパク質キメラを活用した新規ストラテジーによりオーファンGタンパク質結合型受容体(GPCR)のひとつであるSLC-1がMCH受容体(MCH1R)そのものであることを同定し、創薬開発への最初の突破口を開いた。その後、多くの研究からMCH1Rはうつ不安にも関与することが判明している。平成22年度は複数の機能アッセイ系により以下の新たな結果を得た。 (1)MCHR1のヘリックス8の特殊性:ヘリックス8を構成するアミノ酸の解析により、Gi/o共役性は維持するがGq共役性が亢進する1アミノ酸置換体F318Kを見出した。また、ヘリックス8のC末にある高度保存の疎水性アミノ酸ペアは受容体膜以降に関わることが知られている。しかし、MCHR1の疎水性ペアの変異では膜輸送に対して有意な影響を示さないことがわかった。(2)MCHR1のGi/o共役に関与する部位の探索:ヒト・ラットMCHR1はGqとGi/oの両方に共役するが、キンギョ及びカレイMCHR1はともにGqに共役することを見出した。そこでこれら4つのMCHR1配列を比較検討することで様々な置換体を作成し、Gi/o共役に選択的に関与するアミノ酸残基を探索した。現在までに第5膜貫通ドメインと細胞内第3ループに存在する数個のアミノ酸が有力候補となることが判明した。
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Research Products
(17 results)