2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞の活動依存的なリボソーム機能の調節機構とシナプス可塑性
Project/Area Number |
20500338
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
山本 秀幸 University of the Ryukyus, 医学部, 教授 (60191433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 紀子 琉球大学, 医学部, 教務職員 (40231584)
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Keywords | カルモデュリン / シナプス可塑性 / リボソーム / リン酸化反応 / CaMキナーゼI / GT1-7細胞 / LTP / RPS19 |
Research Abstract |
シナプス可塑性の電気生理学的モデルとして、長期増強現象(LTP)が知られている。現在でも、LTPの中・長期間の維持に関与する分子機構については不明の点が多い。我々は、リボソームタンパク質(RP)のリン酸化が、LTPの中・長期間の維持に関与している可能性を考えた。今回、LTPで活性化されることが知られているCaMキナーゼによるRPS19のリン酸化反応について検討した。1)RPS19は、調べた酵素の中でCaMキナーゼIαによってのみ、試験管内で強くリン酸化された。2)リン酸化される可能性があるセリンあるいはトレオニンをアラニンに置換した複数の変異体を作製した。変異体のリン酸化の実験から、59番目のセリン残基(Ser59)が主にリン酸化されることが示唆された。3)Ser59がリン酸化されたRPS19に対する抗体を作製した。抗体を用いた免疫プロット法により、本部位がリン酸化されることが確認された。4)培養神経細胞であるGT1-7細胞内でのRPS19のリン酸化反応について検討した。抗体を用いた免疫プロット法によりRPS19が細胞内でもリン酸化されていることが明らかになった。さらに、そのリン酸化反応は、CaMキナーゼIαの阻害剤で抑制された。すなわち、細胞内でもCaMキナーゼIαがRPS19をリン酸化していることが示唆された。5)ラットの脳内でもRPS19がリン酸化されていた。細胞分画法による検討で、そのリン酸化は、リボソームに組み込まれたRPS19で強いことがわかった。これらの検討から脳内でのRPS19のリン酸化が初めて明らかになった。ヒトの遺伝病の研究から、Ser59がフェニルアラニンに変異するとリボソーム形成が阻害されることが知られている。すなわち、本部位のリン酸化によりリボソーム形成が調節されている可能性がある。
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Research Products
(5 results)