2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞の活動依存的なリボソーム機能の調節機構とシナプス可塑性
Project/Area Number |
20500338
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
山本 秀幸 琉球大学, 医学研究科, 教授 (60191433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 紀子 琉球大学, 医学研究科, 教務職員 (40231584)
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Keywords | コルセミド / 細胞分裂 / 微小管 / リボソーム / タンパク質リン酸化反応 / CaMキナーゼI / PIM1キナーゼ / RPS19 |
Research Abstract |
我々は、神経細胞でのリボソーム蛋白質(RP)のリン酸化が、リボソーム機能を調節することで、シナプス可塑性に関与している可能性を検討してきた。平成21年度までの研究で、CaMキナーゼIαとPIM1キナーゼがRPの一つであるRPS19を強く燐酸化することを見いだした。リン酸化部位は主に59番目のセリンであった。さらに、リン酸化特異抗体を作製し、様々な条件でのリン酸化反応の変化を検討して来た。今回、神経細胞に多量に存在する微小管の破壊によるRPS19のリン酸化の変化について検討した。1)培養神経細胞(GT1-7細胞)をコルセミドで処理し、微小管を破壊させた。微小管の破壊により、RPS19のリン酸化が著明に増加した。2)コルセミド処理によるRPS19のリン酸化の増加は、神経細胞以外の培養細胞でも認められた。すなわち、コルセミド処理により活性化されるタンパク質リン酸化酵素が多種類の細胞に存在する可能性が示唆された。3)これらの細胞でのコルセミド処理によるRPS19のリン酸化は、CaMキナーゼIαとPIM1キナーゼの阻害剤によっては抑制を受けなかった。4)細胞染色による検討では、コルセミド処理によりリン酸化されたRPS19は、細胞周期のM期にある細胞で増加していた。5)培養肺胞上皮細胞を用いた研究で、微小管の破壊により活性化されるタンパク質リン酸化酵素の存在が示唆された。ヒトの遺伝性貧血症の研究から、リン酸化を受けない変異RPS19を発現する細胞では、リボソーム形成が障害されることも知られている。今後は、微小管の破壊により活性化され、RPS19をリン酸化する酵素を同定し、RPS19のリン酸化反応の生理的意義を様々な培養細胞を用いて検討する予定である。
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Research Products
(8 results)