2010 Fiscal Year Annual Research Report
開口分泌の素過程、特に顆粒供給の時空的制御機構に関する研究
Project/Area Number |
20500342
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
熊倉 鴻之助 上智大学, 理工学部, 教授 (70129790)
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Keywords | 開口分泌 / 顆粒供給 / 細胞骨格蛋白質 / 空間的顆粒分布 / クロマフィン細胞 |
Research Abstract |
顆粒供給における細胞骨格系蛋白質の役割 初年度に、ミオシンATPアーゼの阻害は、開口イヴェント上で明確に顆粒供給を低下させること、この顆粒供給の低下は形質膜直下に局在する顆粒の立体的分布に影響を及ぼし、明らかな顆粒数の減少を伴うことを明らかにした。また、ミオシンIIとミオシンVでは、顆粒供給と開口頻度の持続性、および顆粒の動態への関与が異なることを明らかにした。このことは、いわゆる貯蔵プール(Reserve Pool)から放出可能な顆粒のプール(Releasable Pool)への顆粒供給が、顆粒の物理的な細胞内移動に由来し、その過程にはモーター分子としてミオシンVが特徴的に働くことを示唆している。本年度は、高速スキャン共焦点レーザー顕微鏡システムによるイメージング解析により、細胞内の3次元空間での顆粒動態を記録し、顆粒運動の直線性と運動性ならびに運動速度を解析して、モーター分子としてのミオシンVの役割、レールとしてのアクチン繊維の役割を検討した。ミオシンATPアーゼの阻害、アクチン繊維の脱重合ともに、脱分極刺激前後の顆粒の運動速度を減少させた。顆粒運動の直線性および運動性は、ミオシンATPアーゼの阻害からは有意な影響を受けなかったが、アクチン繊維の脱重合によって明らかに低下した。以上の結果は、顆粒の放出可能プールへの供給機構におけるモーター分子としてのミオシンVの役割、レールとしてのアクチン繊維の役割を示唆しており、昨年度までに走査電顕像およびアンペロメトリーによる開口イヴェントの解析結果と良く一致する。一方、PKC活性化によって顆粒の運動性が増大し、顆粒供給が増大したことを示す従来の結果と一致した。このときリン酸を受ける機能蛋白質が何か未だ特定できないが、顆粒のモータータンパクまたはレールの構造に対するリン酸化の影響も一つの可能性である。
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