2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500343
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松田 純子 Tokai University, 糖鎖科学研究所, 准教授 (60363149)
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Keywords | スフィンゴ脂質 / フィトスフィンゴ脂質 / スフィンゴ脂質-C4-水酸化酵素(DES2) / 小腸上皮 / 尿細管上皮 / 脳海馬体 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
スフィンゴ糖脂質(GSL)は生体膜の構成成分で、その代謝および発現は発生段階別・領域別・細胞別に特異的に制御されている。なかでも、脳・神経系や膜を介した物質輸送の活発な小腸上皮では、他の組織に比べ多彩で豊富なGSLを含む。フィトスフィンゴ糖脂質(phyto-GSL)はスフィンゴ塩基のC4位に水酸基を1個多く持つGSLで、哺乳動物の生体内では微量成分であるが、小腸微絨毛膜、腎臓尿細管上皮頂端側、皮膚などに組織特異的に豊富に存在する。しかしながら、phyto-GSLの生物学的機能についてはほとんど解明されていない。我々は、phyto-GSLの生物学的機能を明らかにする目的で、phyto-GSLの合成酵素であるスフィンゴ脂質-C4-水酸化酵素(DES2)のノックアウトマウス(DES2-KO)を作成した。得られたDES2-KOの小腸および腎臓組織の脂質分析の結果、野生型においては大部分がphyto-sphingosine(t18:0)で構成されているのに対し、DES2-KOでは16マス小さいnon-phyto typeのsphinganine(d18:0)で構成されたものしか同定されず、DES2-KOはphyto-GSLが欠損したマウスであることが確認された。DES2-KOは正常に生まれるが、約50%が生後10日頃より発育不良が明瞭となり、2週間前後で死亡することが明らかになった。また予想外に、神経病理学的解析で、DES2-KOの早期死亡群では脳海馬体の歯状回最内層に細胞死の増加が見出された。これらの所見はphyto-GSLが小腸、腎臓、皮膚のみならず脳神経系においても特定の細胞群においてその機能維持に重要であることを示唆する。今後は、DES2-KOの病態解析を通じてphyto-GSLの生物機能を明らかにすることを目指す。
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Research Products
(7 results)