2008 Fiscal Year Annual Research Report
老齢脳における再ミエリン化機構の解明とミエリン再生療法の開発に関する研究
Project/Area Number |
20500348
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
阿相 皓晃 Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology, 東京都老人総合研究所, 研究副部長 (30104160)
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Keywords | 神経科学 / 脳神経疾患 / 再生医学 |
Research Abstract |
老齢脳におけるミエリン形成機構の仕組みと再ミエリン化機構の解明を目指した研究を進めた。これまでに老齢脳ではミエリン形成担当細胞であるオリゴデンドロサイトの前駆細胞(OPC)の数が減少することによって脱髄となり、再ミエリン化かできないと考えられていたが、老齢脳でもOPCの存在を確認することができた。さらに若齢脳におけるミエリン形成の分子機構のトリガー分子FcRγ/Fynが老齢脳の脱髄時に著しく減少することが明らかになったことから、これらの分子をターゲットとするミエリン再生療法の開発に関する研究を推し進めたところ、漢方薬人参養栄湯を老齢マウスに投与することによって脱髄が回復することを発見した。次にこの人参養栄湯による脱髄回復のメカニズム解明に関する研究に取り組み、老齢脳でも若齢脳で明らかにされたミエリン形成分子機構であるFcRγ/Fyn-smallGタンパク-MAPK-MBPに至るシグナルカスケードを調節/制御することによって脱髄を回復させる(再ミエリン化)ことが示された。さらに、この漢方薬の有効成分の同定とその作用機序を確証するために、ミエリン形成のトリガー分子FcRγ/Fynが責任分子とされているカプリゾン投与による脱髄モデルマウス、あるいはミエリン形成のトリガー分子FcRγ/Fynを欠損したミュータントマウスに投与してどのような効果があるかを検討したところ、これらのマウスでは人参養栄湯の脱髄回復効果が認められなかったことから、人参養栄湯の薬効作用にはトリガー分子であるFcRγ/Fynが関与していることが明らかになった。一方、人参養栄湯は12の生薬から構成されているので、その中の有効成分の同定を異なる生薬で検討中である。
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Research Products
(2 results)