2009 Fiscal Year Annual Research Report
老齢脳における再ミエリン化機構の解明とミエリン再生療法の開発に関する研究
Project/Area Number |
20500348
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
阿相 皓晃 Keio University, 医学部, 教授 (30104160)
|
Keywords | 神経科学 / 脳神経疾患 / 再生医学 |
Research Abstract |
老齢脳におけるミエリン形成機構の仕組みと再ミエリン化機構を解明する研究を進めた。これまでに老齢脳ではミエリン形成担当細胞であるオリゴデンドロサイトの前駆細胞(OPC)の数が減少することによって脱髄となり、再ミエリン化ができないと考えられていたが、老齢脳でもOPCが存在していることが確認できた。さらに若齢脳におけるミエリン形成の分子機構のトリガー分子FcRγ/Fynが老齢脳の脱髄時に著しく減少することから、これらの分子をターゲットとするミエリン再生療法の開発に関する研究を推し進めたところ、漢方薬人参養栄湯を老齢マウスに投与することによって脱髄が回復することを発見した。次にこの人参養栄湯による脱髄回復のメカニズム解明に関する研究に取り組み、老齢脳でも若齢脳と同じようにミエリン形成分子機構であるFcRγ/Fyn-smallGタンパク-MAPK-MBPに至るシグナルカスケードを調節/制御することによって再ミエリン化することが示された。さらに、この漢方薬の有効成分の同定とその作用機序を確証するために、ミエリン形成のトリガー分子FcRγ/Fynが関与しているカプリゾン投与による脱髄モデルマウス、あるいはトリガー分子FcRγ/Fynを欠損したミュータントマウスに人参養栄湯を投与して効果があるかを検討したところ、これらのマウスでは人参養栄湯の脱髄回復効果が認められなかったことから、人参養栄湯の薬効作用にはトリガー分子であるFcRγ/Fynが関与していることが示唆された。さらに人参養栄湯の有効成分の同定を試み、その中でもチンピに脱髄回復効果があることを明らかにした。
|
Research Products
(1 results)