2010 Fiscal Year Annual Research Report
MOCA遺伝子改変マウスにおける神経細胞の形態形成と軸索再生の機序解明
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20500349
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
行方 和彦 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (70392355)
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Keywords | Dock3 / BDNF / Rac1 / Fyn / 軸索伸長 |
Research Abstract |
別名でModifier of cell adhesion protein (MOCA)と呼ばれるDock3はアルツハイマー病の原因物質であるpresenilinに結合する新規の蛋白質として発見された。これまでに申請者はDock3が中枢神経系に特異的に発現し、細胞骨格の構築を制御するRac1特異的なguanine nucleotide exchange factor(GEF)であることを明らかにしてきた。本研究ではDock3の神経細胞内における機能解析を進め、Dock3が神経栄養因子brain-derived neurotrophic factor (BDNF)の下流で軸索伸長や酸化ストレス耐性に寄与することを解明した。またDock3の活性中心となる5カ所のアミノ酸を同定したが、この活性中心はDock3のホモローグであるDock1、Dock2およびDock4にも共通していることが判明した。さらにDock3は細胞膜上でFynやWAVEなど細胞骨格を制御するタンパク質と複合体を形成し、アクチン繊維の再構成を制御することによって軸索伸長を促進することを明らかにした。実際にDock3を過剰発現するトランスジェニックマウスを作製したところ、野生型マウスと比較して、視神経外傷後の軸索再生が顕著に亢進することを発見した(Namekata et al., Proc Natl Acad Sci USA,2010)。このようなDock3の機能は多くの神経変性疾患の治療に応用できる可能性がある。
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