2010 Fiscal Year Annual Research Report
随意運動学習の教師として働く誤差信号の伝達経路とその脳内表現様式の解明
Project/Area Number |
20500353
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岩本 義輝 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (50184908)
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Keywords | 運動学習 / エラー / サッケード適応 / サル / 可塑性 |
Research Abstract |
脳可塑性に基づく運動学習の成立のためには、運動のエラーに関する情報が必要である。脳はこの情報を元に、次の運動をどのように変えるべきかを教示する信号を作り出す。この教示信号が運動制御回路のどこかに可塑的変化を引き起こし、その結果最終運動指令が修正され、より正確な運動が実現される。平成20年度は、サッケード直後の上丘電気刺激により学習信号が人工的に作り出され、サッケード適応が誘発されることを明らかにした。平成21年度は、人工的に誘発されたサッケード適応に伴う運動ダイナミクスの変化を解析し、振幅増加、振幅減少の両者において、主としてピーク速度が振幅と平行して徐々に変化することが明らかになった。平成22年度は、適応の神経機構への手掛かりを得るため、電気刺激ではなく自然な視覚刺激(エラーに関する視覚情報)により誘発されるサッケード適応について2種類の実験を行った。1)適応の空間的性質:水平サッケードに、水平、斜め、または垂直方向のエラーを与えて適応を誘発し、方向の45度離れたtestサッケード(右上・右下または左上・左下)への影響を調べた。その結果、エラーの向きが水平、斜め、垂直いずれの場合も、testサッケードの終点変化の方向は適応したサッケードの終点変化のそれとほぼ同じであることがわかった。2)適応に伴うサッケード動特性の変化:適応による振幅増加の際のサッケードの動特性(最大速度と持続時間)の変化を2頭のサルで解析し、最大速度と持続時間がそれぞれどの程度振幅変化に寄与するかを調べた。実験間および個体間の変動が認められたが、それぞれの寄与はその初期値(適応開始時の値)に依存する傾向が見られた。
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Research Products
(5 results)