2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500357
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
少作 隆子 Kanazawa University, 保健学系, 教授 (60179025)
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Keywords | 生理学 / 神経科学 / 脳・神経 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
カンナビノイド依存性長期抑圧(LTD)の誘導においてカンナビノイド受容体CB1が10分程度持続的に活性化されることが必要であると報告されている。CB1受容体が持続的に活性化されるメカニズムとしては、(1)内因性カンナビノイド(eCB)の合成系が促進されeCBが持続的に放出されるようになる、(2)eCBの取り込みや分解系が抑制され放出されたeCBが長時間細胞外に留まるようになる、(3)アゴニスト非依存的にCB1受容体が活性化され続けるようになる、の3つの可能性がある。そこで、まず、これらの可能性について検討した。我々はすでに、ラット培養海馬ニューロンのカンナビノイド感受性抑制性シナプスを用い、I型代謝型グルタミン酸受容体やM_1/M_3ムスカリン性受容体などのG_q共役型受容体の活性化により、シナプス伝達が一過性に抑制される場合と持続的に抑制される場合とがあることを見出し、この持続的抑制がCB1受容体の持続的活性化によることを確認している。そこでこの現象をLTDのモデル系として用い上記3つの可能性について検討した。その結果、eCB合成酵素の一つであるジアシルグリセロールリパーゼ(DGL)の阻害剤を投与するとシナプス伝達が持続的抑制から回復することを見出し「eCBの合成系の促進」の可能性が示唆された。そこで次に、eCBの合成径路(受容体-G_q-PLCβ-DGL)の中のどのステップが亢進するのかを調べるために、受容体-G_q-PLCβまでのステップを定量化するアッセイ系を探した。これまでのところ、K^+コンダクタンスの変化の大きさを指標として、受容体-G_q-PLCβの経路をモニターすることが可能であることを確認している。今後はこのアッセイ系を用いて、受容体-G_q-PLCβまでのステップが亢進するのか、それともDGLが亢進するのか、を明らかにする予定である。
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