2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500357
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
少作 隆子 金沢大学, 保健学系, 教授 (60179025)
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Keywords | 生理学 / 神経科学 / 脳・神経 / シグナル伝達 / カンナビノイド |
Research Abstract |
カンナビノイド依存性長期抑圧の誘導のメカニズムを明らかにする目的で、培養海馬ニューロンのカンナビノイド感受性シナプスを用いて行った昨年度の研究により、I型代謝型受容体およびM1/M3ムスカリン性受容体を活性化させると、内因性カンナビノイドの合成促進が長時間持続する場合があることが判明した。そこで本年度は、内因性カンナビノイド2-AGの合成に関与することが知られている二つの酵素、ホスホリパーゼCβ(PLCβ)とジアシルグリセロールリパーゼ(DGL)、の内の最初のステップとなるPLCβが持続的に亢進する可能性について検討した。 培養海馬ニューロンでは、I型代謝型受容体およびM1/M3ムスカリン性受容体を活性化させると、PLC依存的にK^+コンダクタンスの減少が起こることを確認することができた。また、K^+コンダクタンス減少の大きさは、細胞内外のカルシウム濃度の影響を受けることが示され、受容体を介するPLCβ活性化のカルシウム濃度依存性が確認された。そこで、このコンダクタンス変化の時間経過を指標とし、PLCβの持続的亢進の可能性について検討した。I型代謝型受容体アゴニスト(DHPG)およびムスカリン性受容体アゴニスト(oxo-M)投与によるK^+コンダクタンスの変化を種々条件下で調べたところ、どの実験条件においても、K^+コンダクタンスの減少は多くの場合一過性であり、内因性カンナビノイド量の変化の時間経過とは一致しなかった。よって、内因性カンナビノイド合成の持続的亢進は、DGLの持続的亢進、あるいは、他の合成経路の賦活、などのPLCβ以外の要因によるものである可能性が高いと考えられた。
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