2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500360
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
越久 仁敬 Hyogo College of Medicine, 医学部, 教授 (20252512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 泰昌 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (80160688)
小金澤 禎史 筑波大学, 人間総合科学研究科, 助教 (80431691)
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Keywords | 呼吸リズム / 呼吸ニューロンネットワーク / ペースメーカー / in situ標本 / 膜電位イメージング |
Research Abstract |
哺乳類の呼吸リズム生成機構は、新生児期のペースメーカー型から成人期のネットワーク型へ出生後の発育に伴い大きく変化する。in situ標本は、経大動脈的に脳幹を灌流してin vivoとほぼ同等の脳幹機能を保つ標本で、侵襲的操作に対して安定した脳循環、組織酸素レベルを保つことのできる標本である。本研究の目的は、新生児型呼吸リズム生成機構が、いつ、どのような過程を経て成人型呼吸リズム生成機構へ変化していくのかを明らかにすることである。本年度は、μオピオイド作動薬によって、呼吸リズムが不規則になり、呼吸周期が基本周期のほぼ整数倍となる現象(Quantal Slowing現象)について検討した。この現象はオピオイドによって2つの呼吸ペースメーカー間の伝達ミスが生じるためと説明されている。Quantal slowingは、成ラットvivo標本でも認めるという報告もあるが、そうだとすると成人型呼吸リズム生成機構もペースメーカー型である可能性がある。このことを明らかにするために、in situ標本においてQuantal Slowingを誘発させるための様々な条件検討(オピオイド投与量、灌流液中のK+濃度、灌流速度・温度等)を行った。しかし、呼吸リズムの変化(呼吸周期の増減、横隔神経活動の振幅減少およびバースト間隔の延長など)は観察されるものの、Quantal Slowingに相当するような呼吸周期の変動は観察されなかった。若年ラット(生後3W以降)in situ標本のみならず、新生ラット(生後数日)、での検討も行ったが、やはり、同様にQuantal Slowingは観察されなかった。これらの結果は、呼吸リズム生成機構が生後数日の間にネットワーク型へ移行することを示唆している。
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