2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト脳機能イメージングによる連合学習過程のシステム的理解
Project/Area Number |
20500361
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
田邊 宏樹 National Institute for Physiological Sciences, 大脳皮質機能研究系, 助教 (20414021)
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Keywords | ヒト脳機能イメージング / 機能的結合 / システム論的アプローチ / 機能的磁気共鳴画像法 / 学習過程 / 対連合学習 |
Research Abstract |
本研究課題は、機能的MRIにより対連合学習課題を行う際の脳活動の可塑的変化(過程)を詳細に捉え、そこを手掛かりにシステムとして脳のどの領域がどのような関係性を持って、それを変化させることにより連合学習を成立させるのか、つまり動的システムとしてどう振る舞うのかの神経基盤を明らかにすることを目的とし、研究を行っている。本年度はまず遅延型対連合学習課題に遅延見本合わせ課題を組み合わせることにより、より学習過程に関与する脳部位を特定し、ワーキングメモリと長期記憶形成の関わりを詳しく検討する実験を行った。その際に課題の難易度を操作し、被験者の学習達成度と脳活動の相関を見ることにより、どの部位が連合学習の鍵となるのかを検証した。実験の結果、遅延期間に活動のある外側前頭前野・頭頂間溝部の中で、左腹外側前頭前野の活動が学習の達成度と強い相関があることが分かった。また学習達成度とフィードバック提示後の上側頭溝の活動の変化にも相関が見られ、連合学習の進度に関係のあることが示された。これらの結果は、連合学習を行う際にワーキングメモリの担い手としての腹外側前頭前野の活動が重要であることを示している。長期記憶形成におけるワーキングメモリの役割を1つの実験系で示した初めての例であり、意義がある。以上の結果は論文として国際誌に投稿し、現在審査中である。さらに次年度行う予定の動的システム解析の準備のため、脳機能イメージングにおけるシステム解析の有力なツールであるDynamic Causal Modelling(DCM)を用いて別の課題で行ったデータの解析を行った。また、解剖学的な構造の解析に用いる拡散異方性画像(DTI)の撮像最適パラメータの探索、解析に使えるツールの準備なども行った。これらの準備が全て整い次第実験を始める予定である。
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Research Products
(1 results)