2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト脳機能イメージングによる連合学習過程のシステム的理解
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20500361
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
田邊 宏樹 National Institute for Physiological Sciences, 大脳皮質機能研究系, 助教 (20414021)
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Keywords | ヒト脳機能イメージング / 機能的結合 / システム論的アプローチ / 機能的磁気共鳴画像法 / 学習過程 / 対連合学習 |
Research Abstract |
本研究課題は、機能的MRIを用いて学習課題を行っている際の脳活動の可塑的変化を詳細に捉え、それを手がかりにして連合学習時のシステムとしての脳の振る舞いを明らかにすることを目的とし、研究を遂行している。昨年度までに遅延型対連合学習課題に遅延見本合わせ課題を組み合わせた実験を行い、遅延期間に活動のある外側前頭前野・頭頂間溝部の中で、左腹外側前頭前野の活動が学習の達成度と強い相関があることを明らかにした。この成果は本年度査読付の英文論文としてNeuroscience誌(国際誌)に投稿し受理・掲載された。 この結果を踏まえ、今年度はシステムとしての振る舞いを分析できる解析手法の理解と実際のデータへの適応を行った。近年機能的MRI研究において注目されているDynamic Causal Modeling(DCM)とその他のシステム論的解析手法を比較検討し、本研究におけるDCMの有効性を確認した。尚、DCMを中心としたシステム的方法論の概略についてはそのreviewを日本基礎心理学研究に投稿し、受理・掲載された。さらにこの手法の有効性を調べるため、まず他のデータを用いた解析を行った。1つは盲人と晴眼者の触覚弁別課題遂行中の脳活動ネットワークの差異を調べたもので、結果をNeuroscience Research誌に投稿し掲載された。またベンハムコマを用いた主観的色知覚実験にもこの解析法を適応し、解析法の妥当性について検討した。この研究結果は日本神経科学大会にて発表し、現在論文投稿中である。このように準備が整ったので、現在連合学習中の脳活動を用いてDCM解析を遂行中である。 さらに、解剖学的構造の解析に拡散異方性画像(DTI)法を用いるため、生理研のMRI装置に最適の撮像パラメータを決定する実験を行った。その後、健常被験者を用いてDTI画像の撮像を行い、脳の構造としての領域間結合解析を現在行っている。
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Research Products
(6 results)