2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経軸索変性疾患モデルとしてのshamblingマウスの病態解析と評価
Project/Area Number |
20500370
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高岸 芳子 Nagoya University, 環境医学研究所, 助教 (50024659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
織田 銑一 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (60023660)
林 良敬 名古屋大学, 環境医学研究所, 准教授 (80420363)
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Keywords | 突然変異マウス / 有髄神経線維 / ランビエ絞輪 / パラノード / 免疫組織化学 / 電子顕微鏡学 |
Research Abstract |
shamblingマウスは、有髄神経線維のランビエ絞輪パラノード部に局在するCasprタンパクの遺伝子に変異を持つことから、本年度は、中枢(視神経)と末梢(坐骨神経)の有髄神経線維でその異常を解明することを目的として以下の研究を行った。 マウス:運動失調や後肢の突っ張りなどの症状が明らかとなる生後2週から2ヶ月齢のマウスを研究に用いた。坐骨神経、視神経の電子顕微鏡観察:有髄神経線維のミエリン(髄鞘)形成に正常との違いは見られなかった。しかしながら、パラノード部でミエリンループと軸索膜の間に形成されるパラノードジャンクションが欠失していた。さらに、視神経ではミエリンループの形成も異常であった。また絞輪部位の軸索細胞質内には、肥大したミトコンドリアなどの細胞内小器官の異常な蓄積が観察された。坐骨神経の免疫組織細胞化学法:Casprの細胞外領域を認識する抗体を用いた免疫染色では、パラノード部位における染色が著しく減少していた。さらに、パラノードジャンクション形成の分子基盤となるパラノード複合体を構成する他のタンパクもCasprと同程度にパラノード部位における局在が減少していた。ウェスタンブロット法によるCasprタンパクの発現量の解析:小脳、大脳の組織から取り出したタンパクで検討したところ、shamblingマウスで産生されているCasprタンパクは発現量が著しく低下しており、分子量も減少していることが明らかとなった。 以上の研究結果は、本研究の連携研究者による電気生理学的な解析で、shamblingマウスでは、坐骨神経の興奮伝導速度や大脳皮質視覚野の活動電位が低下していることが示されたが、その形態的、分子的な原因を示していると考える。今年度の成果は、北米神経科学会(別記)で発表した。
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[Presentation] Morphological and functional analysis of the nervous system in shambling mice with a Casprl mutation2008
Author(s)
Y. Takagishi, E. Okabe, Y. Chishima, X-Y. Sun, S. Senoo, M. Inaba, K. Mizumura, Y. Komatsu, S. Oda, Y. Murata
Organizer
Society for Neuroscience, 2008
Place of Presentation
ワシントン・コンベンションセンター, ワシントンDC、米国
Year and Date
20081114-20081121