2009 Fiscal Year Annual Research Report
マカクを用いたガンマヘルペスウイルス関与リンパ腫モデル作出の基礎研究
Project/Area Number |
20500372
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 樹理 Kyoto University, 霊長類研究所, 准教授 (10175408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 貴文 東京大学, 理学系研究科, 准教授 (20184533)
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Keywords | ガンマヘルペスウイルス / 疾患モデル / マカク / リンパ腫 |
Research Abstract |
本研究の目的はニホンザルを中心としたマカクのリンパ腫発症におけるサルガンマヘルペスウイルス関与の実態を明らかにし、マカクを用いたヒトガンマヘルペスウイルス(γHV)関与リンパ腫モデル作出を検討することである。本研究の特色は、前癌状態腫瘍細胞検索にリンパ節ではなく肝臓を中心に行うところである。ヒトEBV関与リンパ腫では、リンパ節腫大という典型的症状が無くても肝臓に腫瘍細胞の集ぞくが見られるが、サルでこの点に着目して行われた研究は皆無であった。既にsEBV陽性Tリンパ腫を発見しているので、無症状あるいは前癌病変状態個体を見つけだせる可能性が高い。 1.本年度も昨年度に引き続き、霊長類研究所に保存してある過去の剖検例のホルマリン固定標本のなかで、更に数個体を選別し、分子解析をおこなった。本計画では、第一にマカクlymphocryptoγヘルペスウイルス(LCV)の感染の有無、さらに感染個体でのウイルス発現を確認することが必要である。そこで、感染の有無にはIR1対応領域を、発現の有無には感染状態で常に発現しているEBER対応領域を指標とした。 2.本年度は、一部の固定標本を業者に依頼して組織検索に重点を置いた。しかし、それらの標本中には期待していた肝臓における腫瘍細胞集ぞく状況を見いだすには到らなかった。代わりに、今年度中に悪性貧血により敗血症を起こし殺処分したニホンザル個体において、腋窩および鼡径リンパ節の腫大や脾腫などの所見と組織学的検索から肝臓に腫瘍細胞の集ぞく像を認めた。これらはγHV関与リンパ腫を示唆する所見である。更に腫瘍細胞の免疫組織学的検索を行ったところ、T細胞マーカーであるCD3に陽性,B細胞マーカーであるCD20およびCD79aに陰性を示したことから,T細胞由来と考えられた。本症例におけるEBV関与の有無について更なる検討を行っている。 3.本年度は、台北動物園のJason Chin氏との共同研究として、台北動物園のタイワンザルの検索を予定している。
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