2010 Fiscal Year Annual Research Report
培養による卵胞卵子成熟とその成熟卵子由来胚からの産子生産に関する基礎的研究
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20500379
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
佐藤 嘉兵 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (20059778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 直人 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (70297795)
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Keywords | recombinant FSH / 凍結卵巣由来卵胞培養 / 体外成熟卵子 / COCs / ICSI |
Research Abstract |
これまでの研究で遺伝子組み換えヒトFSH(rFSH)を添加した培養液中で卵胞を培養することによって成長・成熟させることができ、この卵胞をHCG添加により排卵させて42-47%の成熟卵子が得られ、それらの受精・発生能についても検討した。本年度は卵胞卵子の体外における成熟過程を中心に検討を行った。 1.40-42日齢雌マウスにPMSG 8IUを注射し、48時間後に卵巣を摘出し卵胞から卵丘細胞一卵子複合体(COCs)を採取した。これをrFSH 1OOあるいは200mIU/mlおよび10%FBSを添加したDMEM液中で18時間培養して37℃、5%CO2-airの条件下で体外成熟(IVM)を行った。その結果、rFSH100mIU/ml添加で85.3%,200mIU/ml添加で83.4%、Control(無添加)では41.7%の成熟率が得られ、rFSH添加は有意に成熟を促進した。 2.1と同様にPMSG投与後48時間目に摘出卵巣の卵胞からCOCsを採取してethylene glycol,ficoll,sucroseを用いたvitrification法によってLN2(-196℃)中に凍結保存した。7日後に融解し、卵胞からCOCsを採取し、1)で使用したrFSHを添加した培養液中で同条件下でIVMを行った。その結果、成熟率は100mIU/mlで61.1%,200 mIU/mlで64.4%,contro1で25.0%で明確にrFSHの促進効果が確認した。 3.IVMで得られた成熟卵子を体が受精(IVF)を行って受精卵を得てこれ等が2-cellあるいは4-cell stageに達した時に、偽妊娠雌マウス卵管内に移植した。その結果、新鮮卵胞由来COCs胚で4例中3例が妊娠し、9頭の産子を得た。また、凍結COCs由来胚では4例中2例が妊娠して4頭の産子が得られた。Control卵子由来胚の移植では5例中3例が妊娠、6頭の産子が得られた。 4.このrFSHを用いるIVMシステムで卵丘細胞を剥離させた卵子の成熟率はCOCs由来卵子の成熟率と比較して若干低率であったが有意な差はなかった。そして、IVFを行って受精率を調べた結果、10~26%範囲で明らかにCOCs由来卵子に比べて低率であった。一方、ICSI用いての卵丘細胞除去卵子の受精率はCOCs由来卵子と有意差は見られなかった。この結果は、卵丘細胞剥離卵子では透明帯が硬化して精子侵入を阻害する可能性が示された。
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Research Products
(1 results)