Research Abstract |
投影数がCTの数10から数100分の1に限定されるトモシンセシスを,画像形成論的な観点から見ると,CTに比べさらに著しい悪条件下での再構成を強いられることを意味する.したがって,有効に情報を取得するための撮像方式の検討,およびアーチファクトを極力低減し,また欠落情報を補うような情報処理の考案が必要不可欠となる.以上から,本申請に係る研究課題では,軟部組織などにも高感度で,低被曝量で3次元情報を復元できる屈折コントラスト・トモシンセシスにおける再構成アルゴルズムの新たな開発とその撮像性能の評価に取り組む. 本年度は,Si単結晶の薄板(厚さ:約1mm)を用いたLaue型アナライザーを用いて,屈折情報を取得することに成功した.これを用いて,従来に比べ1/2の放射線被曝で撮像可能な屈折撮像方法を開発した.さらに,この撮像方法で得られる投影に対して,トモシンセシスを実行する際に有効なコンボルーション法に基づく再構成方法を考案した.本方法は,取得された角度偏差の投影に対して,コンボルーションを行い,逆投影を施すことにより再構成を行う.高エネルギー加速器研究機構において,放射光X線を用いた生体資料の撮像実験を行った(入射エネルギー37keV,投影数91).得られた屈折トモシンセシス画像は,CTの約1/10の投影数で,CT像と遜色ない画質を有することを示した.これにより,本研究の当初の目標を達成することができた.現在,研究成果について論文を執筆中である.
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