2009 Fiscal Year Annual Research Report
X線CT装置の空間分解能を活用した定量的な画像診断能の向上に関する研究
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20500389
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大久保 真樹 Niigata University, 医歯学系, 准教授 (10203738)
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Keywords | 点広がり関数(PSF) / X線CT装置 / 変調伝達関数(MTF) / 空間分解能 / 線広がり関数(LSF) / 画像シミュレーション |
Research Abstract |
X線CT装置の空間分解能を活用し、定量的な画像診断能の向上につなげていくためには、空間分解能を表す高精度な物理指標の測定が必須である。そこで、物理指標の一つである点広がり関数(Point Spread Function : PSF)を測定するための新しい手法を確立した。この方法は、我々が昨年度までに開発してきたCT画像シミュレーションの手法を応用したものである。測定されたPSFを用いて画像を算出し、実測した画像との差異を調べることによって、PSFの精度検証を行うことができる。また、精度の高いPSF測定が可能であり、再現性にも優れることが示された。さらに、PSF測定法の一つとしては一般に細いワイヤを撮像する方法(ワイヤ法)が知られているが、その方法の問題点を明らかにし、本法の優位性を明示することができた。現在広く用いられているワイヤ法の問題点を指摘した意義は大きく、今後、我々が提案するPSF測定法の普及が期待される。 昨年度までに、我々は肺内結節を想定したCT画像シミュレーションを行い、スキャン平面における結節の濃度や直径の定量測定に関する解析を行ってきた。今年度は、高精度なPSFの活用によって、シミュレーションの精度がさらに高くなり、結節の体積測定における精度評価などの3次元的な解析に着手することができた。体積測定では、濃度閾値が重要な因子であることから、シミュレーションによって閾値に関する基礎的な特性を解析した。その結果、体積測定に適する閾値は、結節の濃度が一定である場合でも大きさによって変動し、画像再構成条件にも大きく依存することが示された。この結果は、臨床における定性的な体積評価において参考となり、またセグメンテーションや3次元的な計測および体積測定に関わる手法の開発の際に基礎を与えるものと考えられる。
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