2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500397
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
中里 裕一 日本工業大学, 工学部, 教授 (90265372)
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Keywords | 能動カテーテル / 水圧 / ぜん動運動 / 機構開発 / 血管内移動 / 血管シミュレータ |
Research Abstract |
本研究は数mm程度から数十μm単位の内径の血管内を移動できる、自走式カテーテルの研究を行っている。カテーテルの駆動には、生理食塩水を作動流体に用い、複数の体節を持った蠕動運動を行う特殊なアクチュエータを開発する。特に外部にピストン状の水圧発生源を有し、ピストンの往復運動により、駆動部本体に作動流体を注入・吸引することによってその胴体の長さと幅を変え、蠕動運動を行わせる点が特徴的である。本研究はこの機構の開発と評価実験を行う事を目的としている。平成23年度においては、以下の4点を実施した。 (1)曲管や垂直移動が可能で、微小化に適した移動機構の検討 (2)多数の体節をもつ管内走行移動機構の解析・理論化 (3)血管分岐における方向制御方法の開発 (4)人間の血管を精巧に再現した血管シミュレータの準備 上記(1)と(3)に関しては、研究当初より実施計画に加え、すでに一定の成果を得ている。しかしながら、決定的な解決には至っていないため、年度を越えた工夫や新たな発想の導入が不可欠で有ると判断される。研究期間を通じて常に追求する必要が有ると思われるため、平成23年度においても、引き続き研究課題として継続した。(2)に関しては前方から後方へ伸縮波が伝播し、多数の節よる蠕動運動が行われることを明らかにした。さらに、各駆動条件の同定、開口部形状の最適化などの解析を行った。(4)に関しては動物実験に多くの困難が予想されたため、人間の血管を精巧に再現した「血管シミュレータ」を用いた実験装置の準備を行い、平成24年度の検証に備えた。 これら一連の研究、主に(2)の成果により、医療分野においてカテーテルを用いる術式の安全かつ簡便な方法の提案が可能となった。特に、多数の体節を持った自走式のカテーテルを実現し、その特性を解析する事で、安全性の向上および高速化に寄与したと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自走式カテーテルの機構の開発とその解析に関しては順調に推移している。研究当初は動物実験を含む、生体での動作駆動試験を行うことが目標であったが、生体実験は動物保護等の観点から実施が難しく、再現性も乏しいため、平成23年度では人間の血管を精巧に再現した「血管シミュレータ」を使った検証を検討し、平成24年度より実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
一連の研究によって、医療分野、特にカテーテルによる術式の自動化・高速化の実現に向けたいくつかの提案が可能となった。しかしながら、決定的な解決には至っていないため、今後も自走式カテーテルの安全性の向上および高速化を課題とした研究を継続する。また、11「現在までの達成度」で述べたように動物実験を行うことが難しい事から、人間の血管を精巧に再現した「血管シミュレータ」を使った評価試験を行い、これに替えることとした。
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Research Products
(4 results)