2008 Fiscal Year Annual Research Report
粥状硬化発症および発症阻止機構における血管壁細胞の動態
Project/Area Number |
20500400
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
三俣 昌子 Nihon University, 医学部, 教授 (40064589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江角 真理子 日本大学, 医学部, 准教授 (30167291)
楠美 嘉晃 日本大学, 医学部, 講師 (60186393)
安孫子 宜光 日本大学, 歯学部, 教授 (70050086)
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Keywords | 粥状硬化 / 内皮細胞 / 増殖 / 単球接着 / p21 / 酸化 / TXNIP / chemokines |
Research Abstract |
目的:われわれの観察では増殖内皮細胞(内皮)数および内皮へ接着した単球数は共に、層流性ずり応力(層流)に曝される血管非分岐部(抗粥状硬化)に比べ乱流性ずり応力(乱流)領域の分岐入口部(好粥状硬化)で2倍高かった。そこで、内皮の増殖と病変発生(内皮への単球接着を指標)との関連を検討した。結果:層流に比べ乱流は内皮の増殖と単球接着を共に増加させたが、この乱流による増殖と単球接着増加は共に内皮増殖を抑制するp21^<sdi/cip/waf1>(p21)遺伝子導入により抑制された。遺伝子の網羅的解析から内皮の増殖と単球接着をリンクする候補因子としてThioredoxin interacting protein( TXNIP)、 Chemokine(C-C motif)ligand5(CCL5)、 Chemokine( C-XC motif)ligand10(CXCL10)、 SelectinL( SELL)が見つかった。TXNIPはThioredoxin(TRX)の機能を抑制して微小環境を酸化方向へ導く。内皮のTXNIP mRNA・蛋白発現は増殖の高い乱流下で高く層流下では低く、この乱流による内皮TXNIP mRNA・蛋白発現誘導はp21遺伝子導入により有意に抑制された。TXNIP発現はMAP3Kを介してVCAM-1発現を誘導するが、p21遺伝子導入はVCAM-1発現を抑制する傾向を示した。 CCL5,CXCL10,SELLは病巣へ白血球遊走を媒介するが、乱流下内皮のこれらの発現もp21導入で抑制された。上記VCAM-1とCCL5発現は酸化状態で亢進すると考えられている。よって我々の結果は、p21による増殖抑制は内皮のTXNIP発現を抑制し、TRX作用を亢進させて微小環境を抗酸化状態に変え、その結果、内皮の接着因子発現や白血球遊走因子分泌を抑えて単球接着を抑制する事を示唆する。
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Research Products
(5 results)