2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20500401
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
松尾 崇 神奈川工科大学, 創造工学部, 教授 (00165771)
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Keywords | 脳血流 / 中大脳動脈 / 超音波ドップラ / 血流波形 / 姿勢変換 / メンタルストレス |
Research Abstract |
超音波ドップラ血流計を用いて、姿勢変換時、重量負荷の姿勢変換時、騒音ストレス負荷時、暗算ストレス負荷時において中大脳動脈血流波形を経時的に測定した。得られた血流波形は、変動度解析および抵抗指数の算出により力学的に解析した。 1. 姿勢変換時の血流波形の変化 仰向けの姿勢(仰臥位)から立ち上がる(立位)過程において中大脳動脈における血流波形を測定した。血流波形は動作後30秒間大きく変化し、その影響は1分間ぐらい続くことが分かった。心臓の収縮期に対応する最高血流速度は仰臥位→立位の変換によりあまり変化しないが、拡張期に相当する最低血流は大きく変化することが分かった。血流波形の変動度および抵抗指数も大きく変動することが分かった。これらの結果は、血管壁にかかる力学的負荷が大きいことを示している。座位→立位、立位→座位において同様の測定を行った。上記と同様の血流波形変化が見られたが、変化の程度は小さかった。 荷物を待った場合の姿勢変換(立ち上がり)では、持たない場合と比較して血流波形全体の変化が大きく継続時間も長いことが明らかとなった。 2. 騒音負荷時の中大脳動脈血流波形の測定 工場の騒音(DVD音源をスピーカで聴かせる)を1分間聴かせたときの血流波形および心拍数の測定を行った。騒音の影響は、負荷開始後に顕著に現れ、心拍数の増加、最高血流速度の増加をもたらすことが明らかになった。時間経過と共に変化は小さくなった。 3. 暗算ストレス負荷時の中大脳動脈血流波形の測定 暗算を5分間行わせたときの血流波形を経時的に測定した。騒音負荷と同じように、心拍数の増加、最高血流速度の増加は負荷開始後すぐに現れ、時間が経過するに従って変化の程度は小さくなった。 これらの結果は、脳循環特性の理解という生理学的な意義に加えて、脳血管病変、人間工学、健康科学に関連して重要な情報であると考えられる。
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