2008 Fiscal Year Annual Research Report
心筋梗塞急性期における循環動態のコンピュータ制御による、迷走神経刺激治療法の確立
Project/Area Number |
20500404
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
上村 和紀 National Cardiovascular Center Research Institute, 循環動態機能部, 室員 (10344350)
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Keywords | 急性心筋梗塞 / 迷走神経 / 心室リモデリング / 心不全 / 心筋間質蛋白分解酵素 |
Research Abstract |
急性心筋梗塞にたいする冠動脈再灌流療法のAdjuvant therapyとしての迷走神経電気刺激療法の意義を確立する研究を行った。ウサギの心筋虚血再灌流モデルを用い、心筋虚血再灌流急性期に迷走神経刺激することで遠隔期の心室リモデリングを抑制し、心不全発症を抑制しうるか?治療効果に心筋組織間質蛋白分解酵素活性(MMP)がどのように関連しているかを明らかにした。 ウサギの左冠動脈を60分間虚血後再灌流した。10羽のウサギ(VS群)において冠動脈閉塞直後に右迷走神経の電気刺激(2-5V,1msecパルス幅,20Hz)を開始し、再灌流後3日目まで刺激を行った。11羽のウサギ(MI群)を非治療対照群とした。心筋梗塞後、第8週までに、VS群はMI群に比較し、左心室駆出率(VS:56±4,MI:43±3%,p<0.05)、左心室拡張期径(VS:15±1,MI:19±1mm,p<0.01)、左心室拡張末期圧(VS:7±2,MI:16±3mmHg,p<0.05)、左心室重量(VS:3.0±0.1,MI:3.6±0.1mg/g体重,p<0.01)において有意な改善を認めた。VS群の摘出左心室の圧容積関係はMI群に比較し、有意に左方移動していた(p<0.01)。再灌流24時間の時点において、心筋MMP-9の活性はVS群で有意に低下していた(p<0.05)。以上より迷走神経を、冠虚血再灌流後の3日間電気刺激するだけで心筋梗塞後左心室リモデリングを改善することができることが確かめられ、MMP-9の抑制作用がVSの治療効果に貢献していることが確認された。
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Research Products
(4 results)