2010 Fiscal Year Annual Research Report
心筋梗塞急性期における循環動態のコンピュータ制御による、迷走神経刺激治療法の確立
Project/Area Number |
20500404
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
上村 和紀 独立行政法人国立循環器病研究センター, 循環動態制御部, 室長 (10344350)
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Keywords | 迷走神経刺激 / 心不全 / 電気刺激 / 心室収縮力 / 心臓超音波 |
Research Abstract |
迷走神経刺激に伴う心筋収縮能低下は、迷走神経刺激を心臓病患者に適用する際の障害になる。迷走神経刺激と同時に心室収縮能を独立して改善させる方法が必要であった。心室収縮能増強法として、1)心室心筋を絶対不応期に電気パルス刺激する方法、2)心室心筋内を走行する交感神経束を電気刺激する方法が候補として考えられた。 麻酔下成犬(10頭)を用いた実験で、冠静脈洞に電極カテーテルを留置、右心室心尖部に電極カテーテルを留置し1)と2)の方法を行った。1)の方法では先行研究に従い、心電図R波から30-90msの潜時の後に電圧振幅6ボルトのパルス波を2-10発印加した。しかしながら左心室圧時間微分値最大値は印加前平均3500mmHg/sから印加後2時間で平均2500mmHg/sと逆に低下し有意な心室収縮能改善を認めなかった。2)の方法では先行研究に従い冠静脈の側壁枝分岐部付近で電気刺激するもやはり心収縮力の改善は認めず、逆に心房性不整脈(心房性期外収縮・心房細動)などの副作用を惹起した。このように従来ある心室電気刺激法で収縮力を改善することは不可能であった。 心収縮力を評価する目的で、心臓超音波検査が臨床では広く用いられている。僧帽弁輪収縮期速度が心収縮力を評価するうえで有用と考えられているがこの指標が心室機械特性のいかなる要素で決定されているかは不明であった。麻酔下成犬を用い、超音波ソノメトリ法を用いて僧帽弁輪収縮期速度の決定要因を検討した。僧帽弁輪収縮期速度は、心収縮力と正相関し、心臓後負荷と逆相関していた。僧帽弁輪収縮期速度は心室動脈整合に強く依存することを突き止めた。
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Research Products
(5 results)