2008 Fiscal Year Annual Research Report
音響力学によるストレス・プレコンディショニング法の開発
Project/Area Number |
20500416
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
久米 真 Akita University, 医学部, 講師 (00372326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
打波 宇 秋田大学, 医学部, 助教 (40400486)
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Keywords | 強力超音波 / 音響化学 / 臓器保護 / ストレス応答 / 肝虚血再還流障害 / 酸化ストレス / 熱ショックタンパク質 / 環境制御 |
Research Abstract |
初年度はヒト肝癌細胞系の培養細胞HuH7を培養したシャーレに1MHzの超音波を照射し、細胞内シグナルを活性化してストレス応答を誘発できるか確認しようとした。培養細胞に超音波エネルギーを適正に照射すると、培養液中にキャビティー効果が現れ酸化ストレスが発生すること、その条件によって細胞にHO-1タンパク質を誘導し得ることが明らかになった。しかし、今までのところ細胞にHSP72誘導は確認できない。照射条件が難しく、エネルギーを効率よく培養細胞に照射するとHO-1タンパク質誘導には有利になるが、同時に波動の運動エネルギーによって培養細胞は容易に培地からはがれおちて死渇してしまうことが判明した。現在、浮遊細胞系であるヒト悪性リンパ腫系細胞U937を用いて超音波を照射し富山大学グループの研究結果と同等のHO-1誘導効果が我々の使用する超音波発生装置でも再現できるかどうか確認中である。一方、ラットを用いた動物実験は順調であり、ラットを開腹し肝表面から直接超音波を照射するとラット肝臓にHO-1が誘導されることが明らかとなった。ここでもHSP72の誘導は確認できていない。この操作はHO-1誘導と同時に、超音波エネルギーによる肝細胞障害も発生するため、目的とするHO-1発現量が充分大きく、しかも肝障害が少なくなるような超音波照射条件を探索中である。また、超音波照射後、時間経過を追って肝組織におけるHO-1タンパク発現の推移をWestern blotと免疫染色で確認中である。これらの条件を最適化したうえで超音波照射後の肝臓に虚血再還流をあたえ、超音波によるHO-1誘導が虚血再還流障害を軽減し肝細胞保護効果を示すかどうか、二年目に確認する予定である。
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