2009 Fiscal Year Annual Research Report
音響力学によるストレス・プレコンディショニング法の開発
Project/Area Number |
20500416
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
久米 真 Akita University, 医学部, 講師 (00372326)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
打波 宇 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (40400486)
|
Keywords | 強力超音波 / 音響化学 / 臓器保護 / ストレス応答 / 肝虚血再灌流障害 / 酸化ストレス / 熱ショックタンパク質 / 環境制御 |
Research Abstract |
37℃、5%CO_2インキュベータ内でFBS含有DMEM培地に培養したHuH7細胞を用い、超音波照射装置、周波数1MHz、出力0.5~2.3W可変(本多電子、豊橋市)に温度コントローラーを併設し、振動子と培養シャーレ底面とをgelで密着させて実験した。(1)無細胞シャーレに純水2mlを満たし出力1.4Wと2.3Wの超音波を照射したときシャーレ内純水中にH_2O_2の生成をKI法で確認した。出力1.4Wに比し2.3W照射でH_2O_2生成量は高く、照射時間経過と共にH_2O_2濃度は漸増し20分照射で1.4W;4.0μM、2.3W;17.0μMに達した。(2)HuH7細胞は定常状態でHSP72の発現を認めないが若干のHO-1を認める。出力1.4W照射後はHSP72、HO-1共に誘導されなかった。出力2.3Wを20分照射するとHO-1が誘導され6時間後の細胞内HO-1タンパク量が増加した。照射1、2、3時間後の免疫染色でNrf-2の核移行が確認された。培養液温度を管理しないと超音波照射に伴って発熱し細胞にHSP72発現を認めたが、厳密に温度管理すると出力2.3WでHO-1の誘導は明らかであったがHSP72は誘導されなかった。(3)出力2.3W20分間超音波照射後6時間培養した細胞と無前処置細胞の培地にH_2O_2を添加しH_2O_2濃度250μMで0、3、5、10時間培養後のCell viabilityをtrypan blue exclusion testで定量した。無前処置細胞に250μM H_2O_2を添加すると急速に細胞は死滅する。出力2.3W超音波20分間照射後6時間経過した細胞にH_2O_2を添加すると細胞のviabilityは無処置細胞よりも維持された。この結果から、超音波で細胞環境に活性酸素種を生成しストレス応答を誘導可能であること、この前処置sonochemical preconditioningによってHO-1を発現させた細胞にストレス耐性を誘導し得ることが明らかとなった。現在、超音波照射条件に係わる特許申請とここまでの研究成果の投稿を準備しつつ、動物個体の肝臓に超音波照射して肝虚血耐性を誘導する実験の前段階として、超音波照射の詳細な条件設定に取り組んでいる。
|
Research Products
(1 results)