2010 Fiscal Year Annual Research Report
音響力学によるストレス・プレコンディショニング法の開発
Project/Area Number |
20500416
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
久米 真 朝日大学, 歯学部, 准教授 (00372326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
打波 宇 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (40400486)
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Keywords | 超音波 / 音響化学 / 臓器保護 / ストレス応答 / 酸化ストレス / 環境制御 |
Research Abstract |
本研究によって、超音波で細胞環境に活性酸素種を生成し細胞のストレス応答を有効に誘導することが可能であることを明らかにした。また、この前処置sonochemical preconditioningによってストレスタンパク質hemeoxygenase-1を発現させた細胞に自己防御機転が増強し、細胞が酸化ストレスに対する耐性を獲得することを明らかにした。この効果は特定の超音波照射条件によって実現することが明らかとなったので、その超音波照射条件に関わる特許を出願した。このような細胞のストレス耐性を誘導するための効果的な超音波エネルギーは、超音波のもたらす運動エネルギーや温熱エネルギーによってではなく、超音波の音響化学エネルギー(sonochemical enegy)によって細胞にもたらされることが明らかとなった。また、この反応を誘導する化学刺激は細胞環境中に生成する酸化ストレスによって細胞反応を誘導するが、単純に細胞培養液(細胞外)に活性酸素種(過酸化水素)を添加するよりもはるかに少量の活性酸素種を超音波で細胞質内に生成する方が、少ない酸化ストレスで有効な細胞反応を誘導しうる事も明らかになった。この事実は細胞反応を惹起するに細胞外の培養液中で生成する酸化ストレスよりも細胞質内で生成する酸化ストレスがより直接に強力に細胞反応に影響しうることを示唆していると考えられた。動物個体の肝臓に超音波照射して肝虚血耐性を誘導する実験は複数の細胞が混在する肝臓という複雑な臓器に対してどの細胞に超音波照射条件の照準を合わせるか、解剖学的にかなりのボリュームがある肝臓の一定体積に目標の効果を実現するための超音波エネルギーの集約、分配の条件を考える必要があり、難しい課題を克服できないで居る。また、生体に超音波照射する場合、超音波の伝播経路に介在する他の臓器への影響を如何に回避するか、生体にとって有益な超音波効果だけを獲得し、有害事象を回避するための技術開発も、動物への照射を成功させるには重要な課題であることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)